セガからも音楽ゲームを出そう!
そんな話が持ち上がった。
そう、クラッキンDJ1のスタート時の話だ。
当然音楽ゲームなのでサウンド担当の私のところへ最初話が来た。
内心、「これはまずい。何とか逃れなければ...」って思った。
だってこのときは別プロジェクトの『AIR TRIX』やってたし、
趣味で『レンタヒーローNo.1』も同時にやってたし、
サウンドがメインのゲームなんでいろいろ大変そうだし、
リミックスの曲なんてどうやって作ったらいいかわからないし、
DJってなにやってるか良く知らないし、
ラップのレコーディングなんてどうするのよ? って思ったし、
こんなのゲームにして面白いの? って思ったし、
そして、なによりヒップホップが嫌いだったからだ。
ヒップホップのなにがイヤかって言うと、まずあのラップ。
何言ってるか英語じゃわからないし、
メロディーも無いから口ずさめない。
正直、どの曲聴いても「同じじゃん」って思ってた。
なのでクラッキンの開発がスタートするときは、上司の特権でプロジェクトを別のヤツ(含:ふっく福山)にふっていたのだ。
私はあくまでカヤの外から温かい目で見守るっていうスタンスをとっていた。
何か問題が出ると、「うん、そうだねぇ」「大変だねぇ」と、なるべく確信には触れないようがんばっていたのだ。
ところが!!
プロジェクトが進むにつれそうもいかなくなってきた。
楽曲自体がゲームシーケンスやらルールにも関わるって所からサウンドの比重が大きくなってくる。
ディレクターの菅野にも周りから固められ状況的に逃げられない雰囲気が...。
ってことでかなり抵抗していたのだが「しかたなく」DJチームに参入。
で、やっぱプロジェクトに入っちゃったからにはヒップホップも聴かなきゃだめでしょう、ってことでいろいろとCDを聴きあさる。
はっきり言って苦痛だ。だって、ヒップホップ嫌いだから。
ところが...、
毎日何枚ものCDを聴いていると、ヒップホップも曲によっていろいろと違いがあることに気づく(あたりまえなのだが)。
あの独特のビート感が気持いい。
さらにあれだけ嫌いだったラップも心地よく感じてくるではないか!
ラップは言葉でリズムを刻むようなものだ。
ボーカルパーカッションって感じかな。
う〜ん、ヒップホップ最高!!
とにかく、今まで聴いていなかった分やたらと新鮮で、聴いていて楽しい。
やっぱ、食わず嫌いはいけないね。
前もテクノが嫌いだった時、あるプロジェクトでテクノの曲を作ってからはテクノ大好きになったし、結局聴いてないだけだったわけだ。
更に、「スクラッチも勉強しなきゃダメでしょう」と言うことで実物のターンテーブル買って練習しだしたのだ(コラムPART2参照)。
このころになると大分クラッキンプロジェクトが楽しくなってきていた。
でも菅野にそんなこと言ったら負けだ。
あくまで「ホントはやりたくないのにぃ...」というスタンスは崩さずに!
ここポイント。
ま、なんだかんだあったが結局楽しいプロジェクトだった。
ラップの良さもわかったし、
ラップレコーディングのノウハウも蓄積したし、
ブレイクビートの使い方も拾得したし、
リミックスで曲を壊すことの楽しさもわかったし、
そして、ヒップホップの良さもわかったしと、
良いことづくめである(大変だったけど)。
そして今回、菅野の遺作(死んでません)としてクラッキンを引き継ぎPART2を開発したのだ。
そんな、いろんな思いの詰まったクラッキンDJパート2。
是非ともゲームセンターで一度プレイしていただきたい!
(初めての人は練習曲からね!)
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