母なる大地-コーラル本星の環境劣悪化により提唱された惑星間の大規模移民計画の名称。
計画は居住可能な惑星の探索から始まる。無数の無人探索機を放ち、その1つがようやく条件を満たした惑星を発見した。その惑星を政府が「ラグオル」と命名する。
ラグオル発見後、かねてから建造を行っていた超長距離惑星間航行用移民船「パイオニア1」の発進準備にかかり、即座に移民団が編成された。
未知の惑星への移民という前代未聞の事態に備え、移住民に加えて最新鋭装備の軍隊の同行も決定する。軍の英雄・ヒースクリフ=フロウウェン。さらに、生体遺伝子工学の権威・オスト博士。そしてハンターの英雄であり科学者・レッド・リング」リコ=タイレル等の乗船が決定した。尚、実際にはこれら第1陣搭乗クルーは「開拓」という任務の特性から、そのほとんどが国家によって選出され、一般市民レベルにはその出発が公表されるだけに留まった。
「パイオニア1」は、A.U.W.3076ラグオルに向けて出発。やがてラグオルに到着した移民団は惑星内を探査すると共に、来るべき第2次移民のため、生活の拠点となる「セントラルドーム」の建設と、ドーム周辺の調査及び、移住可能な環境を整えに取り掛かった。
そして7年後、セントラルドームは完成。移住可能と判断され、移民第2陣パイオニア2が招聘されることとなる。
その昔、人類は空気中にあるとされる想像上の元素エーテルを探し求め研究を重ねた。
その末に発見された、"大気中に存在する万物を司るエネルギーが「フォトン」である(別の表現をするならば、大気中に存在するエネルギー群を「フォトン」という1つのエネルギーに落とし込んだともいえる)。
大気中に存在するエネルギー群を、「フォトン」という粒子エネルギーに還元する発生装置「フォントンジェネレータ」発明の最大の功績は、エネルギーの有限性を打破したところにあり、これにより人類の歴史は大きく変化することになる。
その後、研究の積み重ねや科学的な進歩により、様々な形で「フォトン」を発生させることが可能となった。しかし、発明当時は核(コア)となる媒体に「鉱石」を使用して発生をさせていた。これは一部のフォトン製武器工の中では、伝統として受け継がれている技術でもある。
「フォトン」の発明により、様々なエネルギー問題は解決し、世界は平和になるかに思えた。が、それは「フォトン」という、まだその全てが解明されていない究極のエネルギーに対して、全ての国家がその研究・応用にさらなる技術競争を行う、という新たな構造を生む出すこととなった。
コーラル本星において弛まぬ研究の結果、飛躍的な発展を遂げてきたフォトンテクノロジー。
そこに一大激震を起こしたもの、それは隕石だった。
コーラル地表に落下した隕石には、未知の生命体細胞が付着しており、その細胞からは、あるエネルギーが検出された。その検出されたエネルギーとは、これまで解明・発見できなかった因子、"D因子"である。
D因子は、人類が生み出した先端技術フォトンと非常によく似ていた。フォトン技術は生み出されるも、そのエネルギーの本質自体は未解決のままであったこともあり、有能で強欲な科学者たちは、フォトンの謎を解く重要な鍵になると我先にその細胞の研究に乗り出した。これまで人類が触れてきたフォトンに「意志」は存在せず、純粋なエネルギーとしてそこに存在しているだけ。だが、D因子にはいわゆる「意志」と呼べるものが存在をしている。それはいわば進化への渇望とも受け取れる意志。
D因子の最大の特徴は単純な生命体〜人工生命体に至るまですべてに対し、侵食・融合・分裂・伝達・干渉によって現れる。各組織が我を争いその研究へと努めるが、いまだ人類にとってD因子の解明とは程遠い地点にいる。 尚、このD因子を統御するために構造化した技術が「エモーショナルAI」と呼ばれるものであり、D因子によって侵食が行われた生命細胞を「D細胞」と呼んでいる。
人類の生活、それにこれからの人類の発展のためには必要不可欠なフォトンテクノロジー。それにも関わらず、その本質は今の科学では到達できないでいた。
そこに突如、コーラル本星に落下した隕石。そこには未知の生命体細胞「D細胞」が付着していた。その細胞から検出されるエネルギー(D因子)はフォトンに非常によく似ていた……。
「隕石に付着していたあの細胞(D細胞)をさらに研究することによってフォトンエネルギーの実像に迫れるはずである!」
有能で強欲な科学者たちは、フォトンの謎を解く重要な鍵になると、我先にとその細胞の研究に乗り出した。その結果、まずは、当代の天才科学者2名:オストとモンタギューの両博士によって、「マグ」が生み出される。しかし彼らにとってそれはあくまで通過点にすぎなかった。これら一連の研究・実験のたどり着く先、それはアンドロイド・ニューマンに続くような新しい生命体の開発であった……。
その一連の実験・研究・開発計画を「MOTHER計画」と呼ぶ。
しかし、当然のことながら、この「MOTHER計画」は各組織(政府・軍部・ラボ等々……)の、様々な思惑が交錯していた……。究極のエネルギー:フォトンの解明、そして新しい生命体の誕生がもたらす結果は、世界の掌握へも導かれる無限の可能性を秘めていた。そしてそのことが各組織の水面下での抗争・確執へと必然的に発展していくこととなる。……そんな彼らの想像もつかない程の大きな力が、深層で働いていることを誰も気付かずに……。偶然の発見で彼らがラグオルを選んだのではなく、必然として彼らはラグオル(の何か)に選ばれたのだ……。