Hitmakerのスタッフによるリレーコラムです


我輩が島田である。あだ名はメケメケ。
お題は「ご本」であるが、読んできた本が多すぎて、思うままに書いたらどれほどの量になるか見当もつかぬ。故にここは「我が人生に多大なる影響を与えた本からの抜粋」を軸に、読んだ当時を回顧しながら語ることにしよう。

『王の心の中はモラルについての葛藤で占められており、そうした思考によってかれは臣民の大半から浮き上がっていた。』
(エルリック・サーガ1巻)

『意味と言われたな、エルリックよ。そんなものを求めなさるな。そのみちのはてには狂気がある。』
(エルリック・サーガ最終巻)

この本を読んだのは小学校高学年の時だったろうか。
人生の意義を意識し模索し始めた矢先にそんなものは無いとつっぱねられた様なもので、では自分は何のために生まれてきたかと大いに悩む。

『焼肉、煮こみ、パイ、串焼き、つぼ焼き、香草焼き、魚の焼いたの、くん製、腸詰、乾肉、(中略)焼き菓子、氷菓―――それがかれらの飲みこんだおもなものであった。』
(グイン・サーガ29巻)

腹が減ったが食べるものが無い時にお薦めな方法とは

 1) 水を飲む
 2) 小説内の食べ物の記述を読みまくる

さすれば、水の満腹感とあいまって、当人の想像力に応じて空腹を忘れることが出来るであろう(実話)。

というのは置いておいて。
中学頃、美味しいものが食べたければ頭の中で空想すればよい。美しい着物が着たければ頭の中で創造すればよい。現実に実現できる事など高が知れていると考えていた私は、本の中の世界の素晴らしさに比べれば現実なぞどれほどの価値があろうかと厭世的な気分に浸る。

同時に「幽遊白書」と「新世紀エヴァンゲリオン」の影響で「人間は生きるべきではない」「存在理由とは」等延々と考えていた。結論は「存在することに理由はない、ただ在るのみ。あらゆる目的は幸福の追求にある」であった。

『最大多数の最大幸福』
(ベンサム)

『意思の格率が、常に同時に普遍的立法の原理として妥当するように行為せよ』
(カント)

共に高校の倫理の教科書で学んだ思想。存在の目的を幸福追求と思い定めたところで、幸福とは何か、如何に生きるべきかを考え始める。その時その時の幸福度を人生時間で積分したものがプラスになれば幸福な人生、マイナスなら生きる価値のない不幸な人生といったところか。

『これからもこの地下の中から世界にむけて、われわれの勇気とプライドを示していかなくてはいけません。敵にもわかるやりかたで、世界中が理解できる方法と言語と表現で、われわれの勇気とプライドを示しつづけること、それが次の時代を生きるみなさんの役目です・・・・・・』
(五分後の世界)

今現在最も私の思想に影響を与えている文章。
人間には自らの幸福よりも優先して求めるべき道があるのではないか、いやむしろその道を歩むことこそ幸せと感ずるよう自らを律するべきではないか。

他にも影響を受けた本は星の数ほどあるが、なにやら話がどんどん深刻になっていくのでここで止めておこう。ともあれ本は大好きです。死ぬときには本に埋もれて死にたいと思うほどに。
ゲームも好きですが。

次は企画新人の小早川さん。
お題は「プロレスとエンターテインメント精神」


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■島田 麻実(デザイナー)
今回も新人ちゃん。デザイナーの“メケメケ”でございます。入社の挨拶で「“メケメケ”と呼んでください」と言ったインパクトがあまりにも大きくて、一瞬本名忘れました。
なーんか独特の空気を持っており、話してると“メケメケ ワールド”に引きずり込まれそうにる。ふぅ、あぶないあぶない。
しかし、学生時代は理系の大学に通いながら、夜間に専門学校でデザインの勉強をしていたという、努力家の面もあったりする。

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