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はじめまして、RIVERです。こんなクエストがあればな、と思って投稿しました。笑いも真剣さもハンパですいません。 |
今でも時折、思い出す記憶
僕がハンターズになった時のことを―――君と出会った時のことを
鮮明に―――
「再試験って・・・どういうことですか、それ!?」
シンの抗議に試験官は溜息をついた
「そのままの意味だ。君の試験結果を見れば分かるが、実技は少々悪いが筆記はトップクラス。だが、心理はかなり悪い。ハンターズにそれが重要なのは、君にも分かるだろ?」
試験官の言葉に、シンは返す言葉を失った
シンは銀髪のハンターズ・・・志望である
ハンターズにも色々種類があり、銃の得意な男のヒューマンであるため、レイマーである
心理(面接)が悪いのは、異常なまでの対人―――特に女性恐怖症が原因であった
試験官が女性であったため、心理でシンは即倒してしまったのだ
目の前にいるの試験官が男性型アンドロイドでなければ、シンは顔を合わせることすらできないのである
「―――それで、再試験というのは・・・?」
気持ちを切り替え、シンは尋ねた
「試験内容はこれだ。」
試験官から数枚の資料を渡される
「依頼内容―――これ、ハンターズが受けるはずの依頼じゃないですか!」
「その通りだ。ハンターズになれば実際にそれをこなさなければならない。ハンターズになりうるかどうかを判断するのに一番適した課題だとは思わないかね?」
「それは、まあ・・・。」
試験官の言葉をロクに聞かず、資料に目を通していく
「アンドロイドのハンターズ・ユーダに奪われたデータを、敵社の依頼主に届けられる前に奪い返して欲しい。データを記憶している場合を想定し、ユーダの記憶を破壊。もしくはユーダもろともを破壊してもらいたい。―――これ、ランクAじゃないですか!」
「何か問題でも?」
「大ありですよ!相手は本物のハンターズじゃないですか!それを破壊しろなんて・・・!それに一人で戦おうにも、限界があります!」
試験官は大きく一度頷き、背を向けた
「もっともな意見だ。―――そこで、チームを組んでもらう。君と同じようにハンターズ採用試験の合格ラインギリギリの人とね。その上でこの依頼をやり遂げてもらう。」
思わずシンは絶句した
「再試験まで時間がある。それまでに仲良くなり、準備を整えるといい。以上だ。」
その人が男性型アンドロイドであることを、シンは心から祈った
「おかしいな・・・。」
ウェポンズショップの前でシンは時間を確かめた
試験官からアドレスを教えてもらいメールで連絡したものの、時間になっても現れない
ただでさえ対人恐怖症の上に再試験のプレッシャーまでかかっているため、シンは落ち着かない様子で辺りを歩き回った
「こんにちは〜!」
それは紛れも無く、女のニューマンの声であった
シンは恐る恐る顔を上げると、その人はやってきた
腰まである美しい金髪に純白の服装
その格好から接近戦が得意な女のニューマン、ハニュエールであった
「遅れてごめんね〜。色々準備してたら、何しに行くのか忘れちゃって・・・。」
シンはアンドロイドのように硬直していた
「あ、わたしの名前はヴァージニア。ジニーって呼んでね。」
ハンターズ志望とは思えぬ細腕で敬礼するその愛らしい姿
どんな疲れをも癒してくれる温かい笑顔
―――だが、重度の女性恐怖症であるシンにとって、それは悪夢でしかなかった
「もしも〜し?もしかして、意識飛んでる〜?」
接触しそうなぐらいジニーが顔を近づけると、シンの意識が一瞬で飛んだ
「女性恐怖症?それはまた大変だね〜・・・。」
驚くジニーの対面の席で、シンは震えながらメールを打ち続けていた
顔ではなく画面を見ながら、口ではなくメールでシンはジニーと会話をしていた
「それじゃあ再試験はどうするの〜?まともに会話できなくちゃ、このユーダってアンドロイド倒せないよ?」
「そそそそそそ・・・!」
口で話そうと努力するが、最終的にはメールでシンは思いを伝えた
「そこは作戦で―――って、ほんとにそんなんで大丈夫なの〜?」
ジニーの言葉を切るようにシンは資料をテーブルに置いた
「これは・・・?」
「アンドロイドのハンターズ・ユーダに関する情報。銃を得意とする男性型アンドロイド、レイキャスト。ハンターズランクはB。得意武器はショットガンとマシンガン。トラップはダメージとフリーズを得意としている。単独行動を好み、これまで仲間は無し。」
「すごいね〜。そんなこと、どうやって調べたの〜?」
ジニーの言葉を無視し、シンは続ける
「このことからメイトやフルイドだけでなく、トラップビジョンもできるだけ多く携帯しよう。あとジニーもハンドガンを持っていき、できる限り遠距離から攻撃する。」
「どうして?」
「ショットガンやマシンガンは命中率が低いんだ。だからといって接近して当たったりすれば、それこそ致命的な傷になりかねない。そこで遠距離から攻撃し、体力を削る。そして弱ったところを一気に攻めれば・・・勝てる。」
感心のあまりジニーは口を開けたまま固まった
「それから君の使えるテクニックも把握しておきたい。依頼内容だけに、動きを一時的に封じられるゾンデ系やバータ系を覚えていた方がいい。それに相手の強さも考えてシフタやデバンドも―――どうかした?」
シンの問いを無視し、ジニーはにっこり笑った
「な〜んだ!女の人苦手なんて言ってたけど、全然大丈夫みたいだね!」
「・・・あ。」
「よかった〜。ねえ、名前なんて言うの?―――って、あれ!?」
集中力が途切れたのか、シンは顔を赤くさせながら失神した
「ねえ、ちょっと!―――やっぱりダメかも・・・。」
ジニーはポツリと呟いた
「ここだ。」
オフィス区画のJf区域にシンとジニーはやってきた
オフィス区画は大きく分けるとAからZまで存在し、更にaからzまで存在する
つまり、AaからZzまで区分けされているのだ
「通常時は使用可能なワープを使用不可能にし、なおかつ依頼主も足止めをしているからユーダは徒歩で進んでいる。依頼主の会社がRkで、その敵社がBvにある。恐らく敵社もユーダを助けようと援軍を送るはず。援軍が来る前にユーダを叩くぞ。」
「ほんと、集中してると女性恐怖症が治るから不思議だよね〜。」
「ちゃかすな。―――依頼主の足止めも、奴のトラップの前に長くは持たないと思う。一本道でない以上、最終的には追う形になる。その際はトラップビジョンを使うこと。」
「了解!」
ジニーの敬礼にシンは鼻で笑った
「常にシフタとデバンドがかかっている状態で一定の距離を保ちながら射撃し、テクニックで動けなくなったところを接近して一気に叩く。」
「それまでは我慢だね〜。」
シンはライフルを、ジニーはハンドガンを構える
「最後に付け加えるなら・・・。」
「まだあるの?」
「―――今までの話はただの作戦。思いもよらぬ状況になった場合、自分の判断で行動すること。何より、自分の命を大切にすること。」
「うん!お互いがんばろ〜!」
二人の会話を割るように、近くで銃声が鳴り響いた
「シフタ!」「デバンド!」
二人が同時にテクニックを唱えると、その体を力強い光が包み込んだ
無数の足音、そして銃声
高まる緊張感を抑えるように銃を握る手を強める
『無駄だ。』
赤いボディのレイキャストが仕掛けたトラップが発動し、大爆発が起こった
ビルの壁が崩れ、それが追手を塞いだ
「予想以上に強いみたいだ・・・。君はまずゾンデを唱えてくれ。その間に僕は狙撃し、最低でもユーダの情報を集める。」
「分かった!」
レーダーに映ったのか、ユーダが顔を上げてショットガンを構える
『ハンターズか。さっきよりは楽しめそうだな。』
「ゾンデ!」
ジニーが雷のテクニックを唱えると雷鳴が轟き、ユーダのボディに一筋の電撃が走る
同時にシンはライフルで連続射撃を行なった
『くっ・・・甘い!』
一発目のフォトン弾が頭部をかすめたが、他のフォトン弾は左腕のシールドで防がれた
「全部防いだ・・・くそっ!」
ジニーも遠距離攻撃に参加するが、ユーダのシールドが全てを防ぐ
『策はよかったが、それに見合う腕は無いようだな。』
防ぎながらも距離を詰め、ユーダのショットガンが火を噴いた
二人は素早く左右に飛んで交わし、シンはセイバー、ジニーはソードに持ち替える
「せやあああ!!!」「隙ありいいい!!!」
ユーダは素早くマシンガンに持ち替え、左右同時に飛び掛る二人に標準を合わせた!
『ファイア。』
無数のフォトン弾が襲い掛かり、壁を突き破って左右のビルへと吹き飛ばされた!
粉塵が舞い、瓦礫が落ち終えるとユーダは銃を収めた
『これでハンターズか・・・失望した。』
「ゾンデ!!!」
叫びと共に鋭い電撃がユーダの体に突き刺さった
「この距離でも交わせるか!?」
粉塵に紛れて距離を詰めたシンが、ハンドガンの引き金を引く
一直線に飛ぶフォトン弾をユーダのシールドが防いだ
「てやあああ!!!」
ジニーはその背丈はある大剣を振るい落とし、大剣はユーダのアーマーに突き刺さった
「吹き飛べ!」
頭部に銃口を合わせようとするシンの銃を、ユーダの腕が素早く払い落とした!
「まさか、ナックル―――!」
腹部に肘を入れられ、続く回し蹴りでシンは再びビルへと突っ込んだ
「嘘・・・刺さってるのに・・・!」
ソードを握る手に力を込めるが、それにも動じずユーダはショットガンの標準を合わせた
『ファイア。』
同時に五発のフォトン弾をアーマーに浴び、ジニーも反対側のビルへと突っ込んだ!
『排除完了。任務を続行する。』
ユーダは静かに銃を収め、目的地に向かって走り出した
粉塵が治まると腹部を押えながらシンが道路を渡り、反対側のビルへと入った
「おい・・・大丈夫か・・・?」
「ちょっと・・・まずい、かも・・・。」
声を頼りに歩いていくと、シンは目を見開いた
ジニーは蒼白な顔をしながらその場に倒れていた
アーマーにはヒビが入り、手に持っていたはずのソードはビルの奥へと転がっていた
「おい、しっかりしろ!メイトを早く使え!」
シンはジニーの体に手をかざし、覚えたばかりのレスタのテクニックを使った
「うっ・・・わたしはいいから・・・早く、あいつを・・・。」
もう一度レスタを使いながらもシンは首を振った
「装備が多い分、あいつの方が遅い。すぐに追いつけるから自分の心配をしろ。」
「うん・・・ありがと・・・。」
「―――それに、一人じゃ奴には勝てない。あそこまで回避されるとは思わなかった。」
「斬りつけた時に見たんだけど・・・ユーダのアーマーのスロットにね、反射速度が速くなる・・・のが、入ってたよ・・・。」
「反射速度が・・・?それが、いくつ?」
「三つ。あと一つは痺れなくなる奴が・・・うっ・・・!」
「分かった。あとは治療に専念しよう。」
レスタの光に包み込まれると、ジニーの表情が和らいだ
そこで、ジニーにメールが届いた
「あ、メールだ・・・。」
「誰から?」
「依頼者から・・・。何でも、D区画のセントラルブリッジを破壊したって・・・。」
「セントラルブリッジを?それじゃあ・・・奴は大幅に時間ロスする訳か。」
「そうだね・・・。これなら、追いつけそうかも・・・。」
ジニーは目を瞑り、安堵の息を溢した
「メールで依頼者にバイクと替えのアーマーを送ってもらうように頼んでくれ。」
「うん、分かった・・・。」
メールを送り終えると、ジニーはそのまま眠ってしまった
シンはもう一度レスタを使った
「本当に追いつけるかな〜?」
二人を乗せたバイクがオフィス区画を走り抜けた
ジニーが眠ってしまったのと依頼者からの物資の遅れにより、大分時間をロスしていた
「追いつけるさ。追いついて勝たなくちゃ僕達はハンターズにはなれない。」
「そだね。絶対ユーダを倒さなくちゃね。」
新しいアーマーを身につけるジニーはふと笑みを零した
「倒して・・・ハンターズにならなくちゃ、ね。」
ジニーの口調に、シンは思い出した
自分にもある―――ハンターズを目指す、理由を |
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