PSOみんなの広場





「ククク…。やった、遂に完成したぞ!」
データを採集した日からはや三日。私は遂にアンドロイドの開発に成功した。
他のアンドロイドとくらべるとやや低めの身長、全身を包む赤の塗装。
見た目はなかなか見事に出来たな、流石私のデザインだ。さて、あとは起動してみるだけだ…。
……ここまで長かった。この三日間で研究室で爆発を起こした回数39回。
使用したトリメイトの数57個。シシルだったらもうとっくに球体になるまで太っていただろう。
だが、これで全てが報われる。溜まりに溜まったトリメイト代や犠牲になったファントムも全て!
さぁ!目覚めるが良い!S-ガルド(アンドロイドの名前)!
この日の為に武器赤のソードと防具エレクトロフレームを用意しておいた!
これらを用いてこのラグオルで存分に暴れ回るが良い!
そして天狗になったモンタギューめの鼻っ柱をその鋼鉄の腕でへし折ってやるのだ!
「スイッチ、オン!」
ピコッ
私のテンションとは裏腹に間抜けな音をたててS-ガルドのスイッチは入った。
それと同時に、S-ガルドの眼(?)に光が点る。
「……起動、各部異常なし。システム、オールグリーン。時計設定…」
と、時計?私はそんなもの付けた覚えがないのだが…。まぁベースがファントムだからおかしくはないか。
と、とにかくS-ガルドは動き出したのだ。私の研究は成功したと考えていいだろう。
「お目覚めのようですね、S-ガルド」
「……目の前の人物を検索中……該当者なし」
「ギバータ!」
私の呪文と共に絶対零度の波動が一瞬でS-ガルドを凍りつかせた。
何が「該当者なし」だ!何が!開発者の名前くらい最初に登録しておかんかい!
……と、取り乱してしまった…。そういえば登録しなかったのは私じゃないか。
S-ガルドには少々悪い事をしたかもしれん。
「……すみません、少々取り乱してしまいました。悪く思わないで下さいね……ってまだ凍ってるし!」
呆れたものだ。まったくいつまで凍っているつもりなのか…。
「シャト!インフェルノバズーカ用意!」
そう言うと黒いおたまじゃくしのような物、シャトが巨大なバズーカを持ってこちらに飛んできた。
私はシャトからインフェルノバズーカを受け取り、その砲座をS-ガルドに向け、放った。
「ファイヤー!」
彼の周りにあった氷は一瞬で砕ける。
「お目覚めですか?」
「……はい。ところで貴方は……」
「ワイズマン、貴方の開発者です」
「記録しておこう……………」
……今「絶対危険人物としてな」とか聞こえたような気がしたがまぁ気のせいと言う事にしておこう。
私は多忙なのだ。なにせさっさとこいつ試運転も兼ねた実践投入をしなければならないのだから。
さぁ、はやく友人から巻き上げた…じゃない、譲り受けた装備品を持ってこないと……。
「シャト、例の物を」
そう言うとシャトは赤くてでっかい剣だのビリビリ言ってる鎧だのを素早く持ってきた。
……この小さな体の何処にそんな力があるのだろうか?今度調べておこう。
「さ、実験に行きますよ、S-ガルド。それを装備なさい」
「装備しろと言われても、ワイズマ…いや博士。これはどうみても大剣……」
「そうですよ。便利でしょう?大剣」
「そりゃ便利だが、レイキャストの私にこんな物を渡されてもな……」
「……は?」
私の聞き間違いだろうか?いまレイキャストと言わなかったか?
いや、私の天才的聴力に限って聞き間違いなどありえない。でもレイキャストな訳ないし…。
「すみません、もう一度言っていただけますか?」
「だから、レイキャストに大剣を持たされても困る…」
「なんでレイキャストなんですか!?」
私がベースにしたのはファントムのデータだ!ならば出来るのはヒューキャストに決まっているではないか!
「知らん!私を造ったのは貴方だろう!?」
う!そこをつかれると痛い…。
おかしい、やっぱりおかしいぞ、ファントム!なんで君にはレイキャストのデータが入っているんだ!?
え?お前が間違えて造ったんじゃないかって?この私に限ってそんなことはあり得ない!絶対に!
……待てよ?私がヒューキャストのデータからレイキャストが造れる程天才だということでは?
そうか!そうに違い無い!いやぁ、流石私だ。奇跡をも起こす天才だったとは。ふはははははは!
「……は、博士。勝手に盛り上がっているところ悪いが、私の戦闘能力テストをするのではなかったのか?」
ふははははは……っと、そうだった。大剣がダメなら別の武器を用意しなければ…。
レア銃かぁ…このインフェルノバズーカ意外はあまり持っていないなぁ…。
なにかあったか……おお!こんな所にヘブンパニッシャーがあるではないか!
いつ手に入れたかはよく覚えていないがきっとバーニィが倒れてた時にくすねてきたんだろう。
「S-ガルド!ヘブンパニッシャーがありましたよ。良かったですねぇ、これで実験できますよ!」
「ヘブン!?いや、そんな武器…」
「大丈夫、今なら天罰が撃てますよ。あ、防具はエレクトロでいいですよね」
「いや、エレクトロもちょっと…」
「シールドは……あ、デルセイバーの盾がありました!これで完璧ですね!」
「だから!Lv1でどうやってそんな強力レアを満載する気なんだ!?」
「……へ?」
最近自分の耳に自信が持てなくなってきたぞ。何?Lv1だと!?
「すみませんがもう一度言って下さい。貴方のLvは?」
「1だ」
「なんで!?」
貴様、ファントムのLvを分かっているのか!?あれでも97だぞ、彼は!
「だから私が知るか!?造ったのは……」
「だからおかしいんですよ!なんで天才である私にLv97をベースに造られてLv1なんですか!?」
「どんな天才が何をベースに造っても普通初期Lvは1だと思うぞ、私は!」
なんだと!?そうだったのか!
……大変まずいことになったな。これでどうやってモンタギューめにギャフンと言わせるか…。
まったく、これではなんの為に大金かけてS-ガルドを造ったのかわからんぞ。
ん?大金?そういえばそんな金どこから出したんだったか……。
ピンポーン!
そんなことを考えていると、家の呼び鈴が鳴った。
「ワイズマンさーん!先日購入したトリメイト57個分の支払いがまだです!」
「ワイズマンさん、研究室の修理代、まだ払われてないんですけど!」
は!そうだった!少々予算不足だったからツケだの借金だのを使ったんだ!
私は大急ぎでドアの方に向かう。
「す、すみません!まだお金が用意できてないんです。もー少しまってください!」
「じゃあ、これ。請求書。ちゃんと払って下さいね」
ふぅ、とりあえず危機は去ったか…。しかし私はいくらくらい使ったんだろうか?
えーと、まずトリメイト代は……げ!114000メセタ!?
さらに研究室の修理費もあわせると……うわ〜、もう見たくないような金額に…。
学者がどのくらい儲からない仕事か知っているのか?こんなの払えるわけないだろう!?
「もう夜逃げしちゃおうかな……」
「博士、自分で使ったんだからそれは良くないと思うぞ地道に働いて返せばいいじゃないか」
こいつは他人事みたいに言いおって…誰のせいでこんな事に……はっ!
そうだ、金はほとんどこいつの為に使ったんだからこいつが使ったも同然ではないか?
ならこいつが働くべきだろう。ああそうだ、そうに決まってる!
「S-ガルド、問題です。私はこんなに沢山のお金を何に使ったでしょう?」
「さ、さぁ。何に使ったのやら……」
「当然、貴方の開発です」
「ちょっと待て!修理費はともかくトリメイトは絶対違うだろ……」
「シャラーーーーーーップ!だまらっしゃい!とにかく九割九分九厘すなわち99.9%は貴方の責任だ」
「んな滅茶苦茶な…」
「と、言う訳で貴方も働きなさい。私も少しは協力しますから」
「立場が逆だろう!?立場が!」
「ほう、それほどアンシエントセイバーの試し斬りに使って欲しいですか?」
「お仕事頑張りまーす」
「よろしい」
そんなこんなで、私達は借金返済の為に働くことになったのである。ああ、なんと情けない…。
打倒モンタギューへの道、その前途は多難である…。

「おのれホプキンス!あいつは何度武器を落とせば気がすむんだ!しかもいつもフォニュームの持てない武器ばかり持っていおって!不愉快だ!」
S-ガルドが愚痴っている。これはもう毎度のことだ。私もいつもの返答を返してやる。
「S-ガルドは心が広いですね。私はあの顔を見ただけで殴り飛ばしたくなりますよ」
「確かにむかつく顔だがそこまではっきり言わんでも…」
「ぶつぶつ……なんで私ばかりがこんなめに…」
あー、ファントムはまた泣いてるよ…。この男、私が呼ぶ度に泣いている。どこまでも五月蝿い奴だ。
「また泣いてるんですか?ファントム。くよくよしてても始まりませんよ?」
「その泣くような事に巻き込んでる本人が何言うか!関係ないのに依頼があるといつも呼びつけおって!」
「ちゃんとその分のお金は払ってるからいいじゃないですか、別に」
「こんなに働いて時給100メセタでやってられるか!?そこのダメキャストのお守も大変なんだぞ!」
「それは聞き捨てならんな。誰がダメキャストだ!誰が!文句があるならそこのダメ博士に言え!」
「この前ソウルイーター貰ったんですよ。試し斬りしたいなぁ…」
「さぁみんな、バリバリ進むぞ!」
「そうだな、じゃんじゃん進もう!」
ホントにこいつらは脅しに弱いな。まぁ、だからこそ利用しやすいのだが。
……このやり取りにもいいかげんに飽きてきたな…。それだけの数武器を落とす奴もある意味天才だ。
あれからもう三週間はたっただろうか?私達は今、ハンターズギルドで仕事をする毎日を送っている。
借金は……これが終われば半分といったところか?ホプキンスの馬鹿のおかげで結構稼がせてもらっている。
「まぁ、仕方ありません。全てはお金の為ですから。さっさと盗人ひっ捕らえてヒートソードと有り金をまきあげましょう」
ああ、私もすっかり守銭奴になってしまったな…。この発言が全てを物語っている。
「どうせまたドラゴンだろう?あれからどうやって金を巻き上げるきなんだ?」
「確かにそうだな。いつもあのは虫類がもっている」
「毎度のことなんだからいい加減に覚えてくれ。まったく、何故私はこんな奴に造られてしまったのやら…」
「やかましい!メギド!メギド!メギド!!」
「どわぁっ!死の呪いを振りまくな!」
おのれ、何故私がこんな奴にこんな奴とか言われねばならんのだ!忌々しい!
どれもこれもモンタギューめのせいだ!くそ、覚えていろモンタギュー!
いつかお前のその調子に乗りまくった鼻っ柱へし折ってゴーグル窓から捨ててやる!
「さっきっから声に出てるぞ。八つ当たりとはみっともない…」
「しかも今回の事にはモンタギューは関係ないじゃないか。お前なんでも奴のせいにし過ぎだぞ」
「ラフォイエ!ラバータ!ラゾンデ!メギド!グランツ!!」
「だから!上級テクを連発するのはやめてくれ〜〜!」
「こ、これ以上続けると我々の身がもたんからこれにて終了っ!」

END


自らの研究のため、多少(?)の犠牲もいとわず…
どうやらモンタギュー博士にはまだまだ及ばないようですが、結果的にはハンターズの一員としてそこそこの活躍をみせているようですし、まあ良かったのではないでしょうか(笑)
博士、これからも目標に向かってがんばってください!
でも借金の返済がまず先ですね…

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