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初めて投稿させていただきます。ファントムと申します。
今回は自分の2ndキャラが主役の小説を書かせていただきました。
読んでいただければ光栄です。 |
ちゅど〜〜〜ん!!
ありがちな爆音が私の部屋に響き渡った。
「あいたたた……」
これで何度目の失敗だろう?今最後のトリメイトを使ったから、だいたい10回目といったところか。
「うーむ……やっぱり資料が足りなさ過ぎますね。機械の知り合いを片っ端からあたりますか…」
私はデータ採集の為、外出の支度を始めた……。
私の名はワイズマン、フォーマーの学者だ。
あの天才とかほざいているジャンカルロ・モンタギューめの鼻っ柱をへし折る為、日夜努力している。
今の課題は限り無くヒューマンに近いアンドロイドを自分の手で造り出すことだ。
最近……と言って良いかはわからないな。私は普段研究室にこもりきりだからどうも情報が遅れがちだ。
我がライバル(自分で言ってるだけ)モンタギューがそんなアンドロイドを発明したという話を聞いた。
実際会ってもみたが、確かに感情表現も豊かだし、まるで本物のヒューマンかのようにお茶目な失敗(要するにドジ)もしたりする。
名前は確かエルノア、といったか。これは実に興味深い研究課題だ。
まぁ、そんなわけで私は今エルノアに対抗できるようなアンドロイドの製作にとりかかっている。
待っていろモンタギュー、今に貴様があっと驚く凄いアンドロイドを造ってやる!
まず私が行ったのは居住区だ。確か、彼の家はこの辺だったはず…。
「やぁ、ワイズじゃないか。お前がここに来るとは珍しいこともあるものだ」
噂をすれば何とやら、向こうから姿を現してくれるとはなんという好都合。
私の前に紫色のボディをもつアンドロイドが現われた。
その手には何故か買い物袋らしきものが大量にかかっている。
アンドロイドなのだから服も食料もいらないと思うのだが、一体何をこんなに買い込んだのだろう?
「お久しぶりです、ファントム……相変わらず腑抜けた生活してますねぇ」
「余計なお世話だ!」
アンドロイドは今にも頭から蒸気を吹き出しそうな勢いで怒った。
彼の名はファントム、ヒューキャストだ。
ハンターズとしては私の先輩にあたり、昔はいろいろと世話になった。
もっとも、最近はギルドにも行かず探査もさぼってばかりなので実力は私のほうが上だが。
だが、そんな彼でも一応はアンドロイドの一人。良いデータが手に入ることだろう。ククク……。
「こんなところで立ち話もなんだろう。とりあえず上がってくれ」
「あ、ここでしたか、貴方の家は」
「お前……分かってて来たんじゃないのか?」
「いやぁ、少し忘れていましてね。でも流石私だ。無意識に人の家までこれてしまうとは…」
「………まぁ、何でもいい。とにかく上がろう、手が疲れてるんだ」
「ああ、そうですね。ではお邪魔します」
「それで?今日は何の用だ。お前が外出をするくらいだ、相当のことなんだろう?」
「ええ、最近新しい課題ができましてね…」
「また『打倒モンタギュー』か?やめとけやめとけ、あんな奴に勝てっこない……ぐわっ!」
言った瞬間、彼の頭に私のブレイブハンマーがめり込んだ。誰が勝てないんだ!誰が!
「いってぇ…ってあー!頭パーツがへこんでしまったではないか!どうしてくれるんだ!?ライオネルも言っていただろう!?アンドロイドのパーツは滅茶苦茶高いんだぞ!」
ああ、五月蝿い五月蝿い。直せばいいんだろう。
「レスタ!」
私が呪文を唱えるとへこんだ彼の頭は見る見る内に修復を始め、あっという間に原形に戻った。
「これでいいでしょう?」
「おー、レベル20でも結構回復するもんだな……ってそういう問題かぁっ!そもそもバトルでもないのにいきなり人を殴るという時点で既に間違ってるだろう!道徳的に!」
「貴方はヒューマンではなくアンドロイドでしょう?」
「……ダメだ、こいつに何言っても屁理屈しか返ってこねぇ…」
ファントムは小声で言った。聞こえてるっつの。
「なにか言いましたか?」
「え?あ、いや、何でもない。続きを聞こうか、今回の課題はなんなんだ?」
「ヒューマンに近いアンドロイドの開発」
「ほう、今回は結構まともだな」
「……その今回『は』っていうのが気になりますね」
「前回のモンタギューの研究所のバリアシステムの解除及び研究所の破壊とか、前々回の研究所のデータのハッキングとかはどう考えてもまともじゃないだろ…」
「もう一発殴りましょうか?こんどはEXAで」
「いや!お前の考えはいつもまともさ!それで私は何をすればいい?」
「データが少々不足してましてね、データ収集を手伝って欲しいんです」
「……なんかあまり良い予感がしないんだが、断ってもいいか?」
「シャト、ちょっとインフェルノバズーカをもって来てくれませんか?」
「いや!お前の頼みなら聞かない訳にはいかないよな!うん!それでどうやって収集するんだ?」
「やっぱり、実物を分解して実際に見るのが一番効率的かと…」
「そうだな、それが一番……え?」
一瞬、ファントムの動きが止まった。やはりストレートに言い過ぎたか。
ファントムに目的を気取られてしまったようだ。まぁ、そんな事大した問題ではないが。
「ま、まさか…」
「ええ」
私はにこやかに言い放った。
「解剖させて下さい」
「嫌に決まってるだろー!」
言いながら、ファントムは猛スピードでその場から逃げ出そうとした。
ふっ、甘い。貴方がそう言う反応をするのは既に予想済みだ!
「ギゾンデ!」
逃げ出したファントムの背中に電撃が直撃する。
どうやら私の放ったギゾンデは当たりがよかったらしく、ファントムは麻痺状態になってその場に倒れた。
「逃げないで下さい。手元が狂いますから。ククク……」
「なぁ、ちょっと、落ち着けってワイズ」
本当に五月蝿い奴だ、これでは解剖どころではない。私はファントムが安心するように声をかけてやった。
「大丈夫、後でちゃんと直しますから。安心して寝ててくださいね」
「そうか、それなら安心……できるかぁーーーーーー…」
その辺で彼の電源は切られた……私の手によって。
解剖の後、私は倒れたままのファントムを残してその場から立ち去った。
残骸はあとでちゃんと繋げてリバーサーをかけておいたから多分大丈夫だろう。
……さて、ファントムの協力のおかげで、アンドロイドのデータは大体揃った。
欲言えばもう少し欲しい所だったが、他のアンドロイドの知り合いは誰も協力をしてはくれなかった。
なんて風当たりの厳しい世の中だろう。
ライオネルは「もうバラバラになるのは御免だ」と言ってその場で泣き崩れるし、CALは何も言わなかったが後ろでエリが凄まじい殺気を放っていて解剖なんて言ったら即刻殺されそうだし、キリークに至ってはソウルバニッシュを振り回して追い掛け回してくる始末。
全くとんでもないハンターズもいたものだ。
だが、これ以上のデータ収集が無理ならば外にいても仕方がない。
私は早速研究室に戻り、アンドロイドの製作に取りかかった。 |
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