
コメント
ハジメマシテ。さつきと申します。
時代背景(?)としては、エピソード1と2の間の時間帯を想定しております。採用されたらうれしいなぁ…。 |
「おねぇちゃん!」
私は妹の手で揺り起こされる。
「…もう少し寝かせて…」
少々のだるさを感じさせるように、ゆっくりと腕を払う。
「もうー、朝ご飯かたづけちゃうよー」
私は薄目をあけて妹の姿を確認する。
…相変わらず鏡を見るような錯覚に襲われる。
メイアは双子の妹と言わんばかりにうりふたつだ。
あの時から幾分かの時間が過ぎたが、過去の妹を思い出せない。
「…私だけ…か…」
「なぁに?」
不信がるメイア。
思わず声になってしまっていたようだ。
「何でもないわ。寝ぼけちゃったのかもしれないしね」
「お仕事休みだからって、ボケボケしてないでね」
「そうね…」
私は体を起こすと大きく伸びをした。
今日は何をしようかな…。
そう遠く離れていないキッチンから、食器を洗っている音が聞こえている。
メイアは私なんかよりずっと家庭的だ。
そう、昔から…。
…昔?
心の片隅で何かが引っかかる。
「…ごめんメイア。ちょっと出掛けてくるわ」
「わかったよー、いってらっしゃいー」
相変わらず元気に返事を返してくれる。
私は部屋に戻り鏡に向うと、薄くファンデーションを塗り、本職の表情をする。
…いつかは私も厚化粧しなくてはならない時期が来るのかな…。
と、つまらない事を考える。
「行ってくるね」
返事は聞こえない。
わかっていても言ってしまう挨拶。
悪い気はしない。
だってメイアは待っているから。
…私を。
自宅の外は晴れ渡っていた。
それもそのはず。
今日は降雨の予定はないからだ。
見上げた空にパイオニア2の人工の明かり。
本星にいた時とは比べてはいけないとは思うが、やはり自然の太陽とは違う。
だいぶ慣れはしたけれど、優しくも、厳しくもない。
ただ明るいだけ。
そう感じるのは自然のものではないせいか、それとも別の思いなのか。
…ラグオルの宙域に留まりはじめてからは、自然の太陽を拝めるはずなのに、慣れた日の光の方が良いと大半の住民が主張し、出航時と変わらない人工太陽を使いつづけている。
ナチュラルであるはずのヒューマンがそう主張し、作られた存在のニューマンは自然光を是と主張した。
ヒューマンは自分たちの環境が変化することを嫌うのだろうか…。
ニューマンである私には良くわからなかったけれども、やはり良い変化は望むものであると思う。
良い変化。
良い変化…。
メイアの過去を思い出したのは良い変化なのだろうか…。
ううん、全て思い出したわけではないわ。
変化じゃない、元に戻る、それだけのはず。
メイアは私を姉として接してくれる。
私はメイアを妹として接している。
それは当たり前のこと。
だって私達はたった2人の姉妹だから…。 |
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