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第5章 RIZU


「アシェリー!あ…あんたどうして!」

行方不明(迷子)になったセツナと一緒について来る人物の中にラボの人間がいることは解っていたが、かつての仲間であるアシェリーがいるのには驚いた。
アシェリーはそっぽを向いてしゃべり出す。現在は廃棄処理場に繋がるエレベータの前だ。

「別口の依頼でねぇ。ここにある実験データを回収して来いって仕事さ。あんたとは本当は商売敵なんだけどね…。ダークファルスがからんでいるなら話は別さ。………リズ。率直に聞く
よこの奥にダークファルスがいるんだね?」

アシェリーが出した疑問の答えを私は…知らない。私もこの奥にいる存在の正体は私も解らない。いや、大体の予想はついているが確証が持てない。
私が言葉を発するより早く別のところから答えは返ってきた。

『パイオニア1陸軍副司令官 ヒースクリフ・フロウウェン氏さ。』

セツナを除くその場にいた全員がその声の主を知っていた。

「モンタギュー博士!?」

ハルの持つ通信機の向こうから聞こえてくるのは生物学者であり、ヴァルキリーのライフルを作った武器工のジャンカルロ・モンタギュー博士だった。

『正確にはD型細胞におかされて、完全DF化したフロウウェン氏だよ……つらい事だけれど、僕はそう判断した。』

辛い沈黙だけがその場を支配した。空気が痛い…私達は最初はフロウウェン氏を探すためにココに来たはずだ。
でも…あの謎の言葉が私の脳裏をよぎる。
(我ヲ滅ボス赤キ捕ラワレ子ノ救イ手ヲ待ツ)
そうだ!私は何をすべきか、解っているはずだ!

「行こう。リコがそれを望んだように。あの人も開放してあげなきゃ!」

「そうさ!もう、あんな悪夢はゴメンだね!」

「成すべき事をせずにいるのは卑怯者です。」

「これで終わりにしないとね。」

あたしがそれを言うように、アシェリー、インエイ、ヴァルキリーが沈黙を破り頷いてくれた。

「それにしても。ようやく全員そろいましたね。」

インエイのセリフに私達はようやく4人がそろったことに気づいた。

「そうか…あの時以来だよね。みんなと会うの。」

「戦いで会うのはこれが最後にしたいね。」

「ダイジョウブです!最後にしましょう!」

みんながこれまでに無く頼もしく見える。そっか、仲間ってこういうことなんだね。私は拳を握り締めると決心するように前に突き出した。

「いこう!みんな!」

私の拳に皆の掌が優しく重なる。

「おう!」

「ええ!」

「了解です!」



『解ったよ。エレベータは4人しか乗れないから、メンバーは慎重に選ぶようにね。ッて、いってももう決まってるか…それと、ハル。リズさんに例のものを…』

博士がそう言うとハルさんが長い布に包まれた棒状のものを私にさしだした。

「これは……?」

『キミの刀をラボの総力を上げて修復したものさ。』

受け取った包みを解き中身の一振りを取る。オロチアギト…私の牙。鯉口を切ると、氷のように冷たい刀身が現れる。
刀を収める。

「ありがとう。博士。ハルさん。これがあれば百人力です!」

私が振り返ると他の3人がエレベ−タのって待っていた。
無骨なラストサバイバーを担いだ隻眼のアシェリー。
ダブルセイバーを携えるインエイ。
モンタギュー博士の開発した兵器ブリンガーライフル構ええるヴァルキリー。
何もかもがあの時と同じだ…でも、一つだけ違う。終わらせるんだ!
全てを!私達の手で!

「さあ!いこうか!奈落の底へ!」


終章 HARU

目の前の端末にデータのインストールが実行されている。
89%…93%…97%…100…これでEnterを押せば全てが終わりだ…。
あとは彼女達が全てを終わらせるのを待つだけ…これで全てが終わるよ
ナツ姉さん…。なんで、姉さんだけがパイオニア1に乗っていたんだろうね。
生暖かい涙が頬を伝っていく。これで最後だ。あとはあの四人が何とかしてくれる。
さあ、最後の仕事だ。僕は目をつむって静かに、終わりを告げた。
それと同時に、海底から一つの光が空へと上っていくのが見えた。どうやら、向こうも終わったようだ…さようなら。
姉さん………

こうして、人の業が引き起こした一連の悲劇は終わりを告げたのでした。
 章ごとに主点となるキャラクターが変更しつつも、一つのストーリーにつながっていくという、難しい手法にチャレンジ。
 それぞれのキャラクターがとても丁寧に描かれていて、最後までまったく飽きさせないのはさすがです!
 とってもドラマチックな作品をありがとうございました。

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