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なんとなく思いつきとマグがこんな行動を取ったら愉快だろうなぁと思って軽く小説にしてみました。
短いので簡単に読めると思います。宜しくお願いします。

「ちくしょう・・・なんでこうなるんだよ。」

ラグオル地表の大自然を一人のフォーマーが駆け抜けていく。男の後方からは無数のフォトン弾が飛び交う。そのうちの一発が男の腕をかすめ、赤い血液が流れ出た。男はかまわず走り続け、茂みの中に身を潜めた。

「ハア・・・ハア・・・くそっ。レスタ。」

男がレスタを唱えると傷口はみるみる塞がった。

「こうなったら・・・絶っっっっ対に感染源を見つけてやる!」

この男がどうしてこんなことになったのかは、三日前の出来事が原因である。


                 〜三日前〜

「ちくしょう・・・なんでこうなるんだよ。」

男がぽつりと呟く。男の名はマルシア。フォーマーでありながら、アンドロイドの完全自立回路をつくるプログラマーでもある。しかし今は別の研究に頭を悩ませている。
マルシアが研究しているのはキラーバグウイルスの治療法である。キラーバグウイルスとはあらゆる機械を破壊してしまうコンピュータウイルスである。4年ほど前に発見されて以来、感染源不明、感染経路不明、予防策不明、治療法不明の強力なウイルスだ。別名アンドロイドの癌と言われており、もしアンドロイドがこのウイルス
に侵されたならば、それは死を意味する。

「また行き詰ってるんですか?」

助手のミオがコーヒーを持って話しかけた。

「ああ、全然だめだよ。」

マルシアは受け取ったコーヒーをすすりながら言った。口調からは少し苛立ちが感じられた。

「まあ、あんまり無理しないでくださいね。」

「うん。今日はもうやめとく。お仕事行ってきます。」

「いってらっしゃーい。」

ミオに元気良く送り出され、マルシアは研究室を出た。彼の言うお仕事とは、クエストのことである。クエストで稼いだ収入は生活費となり、研究資金となる。この日も、いつものようにギルドカウンターまで行った。

「いらっしゃい。研究は進んでる?」

「まったくだめ。」

カウンターの受付嬢であるハノカとは顔見知りになっていた。

「なんか仕事ある?」

「ちょっと待ってねぇ・・・。」

そういってハノかはコンピュータをいじりだした。しばらくして、ハノかが青ざめた顔をしてマルシアを何度も見る。

「な、なに?」

「ちょっと・・・これみて。」

「えっ?」

コンピュータの画面を覗き込むと新着クエストが一つある。マルシアはその内容を見て目を丸くした。

「どういうことだよ・・・。」


依頼人:総督府
報酬:100000メセタ
内容:キラーバグウイルスの製作者である「マルシア=ガイダンス」を捕らえろ。
   この男は、最重要指名手配人物とする。詳細はカウンターにて直接聞くこと。


「マルシア=ガイダンスって俺の名前だぞ!」

「ついさっき届いたクエストだから気づかなかったけど、あなたの詳細な個人データが今届いたわ。」

マルシアは混乱状態でどうしたらいいのか分からない様子だ。

「落ち着いて!まだ届いたばかりのクエストだから見た人はほとんどいないはずよ。今のうちに逃げなきゃ。」

「いや、総督府に直接抗議しよう。」

「だめよ!依頼人は総督府よ。話なんか聞いてくれないわよ。」

マルシアは落ち着きを取り戻しよく考えた。

「分かった。逃げる。パイオニア2のなかに隠れるのは無理だな。地表に降りよう。」

「大丈夫?軍に見つからない?」

「変装でも何でもするさ。」

そういってマルシアは走り出し、いったん研究室に戻ることにした。研究室に入ると、ミオの怯えきった顔が飛び込んできた。

「あ、あなたが・・・キラーバグウイルスを・・・。」

「違う!嘘だ!俺はそのウイルスの治療法を研究してたんだぞ!君が一番知ってるだろ!」

しかしミオは部屋を飛び出していった。マルシアのいない間に誰かがミオに話したのだろう。マルシアは変装するための荷物を大急ぎで準備して、転送装置まで向かった。しかし、その途中にある細い通路から突然手が伸びてきて、マルシアを通路に引きずり込んだ。

「くそっ!離せっ・・・。」

「しーっ、静かに。・・・君、マルシアくんだね。」

「・・・あんた誰?」

その男は一人のアンドロイドを連れていた。

「ウフフ、僕はモンタギューというものさ。こっちはエルノア。」

「初めましてぇ。」

「あんた・・・あのモンタギュー博士なのか。」

エルノアの丁寧なお辞儀のあとモンタギューが話を続けた。

「僕たちはクエストを見た者なんだが・・・。」

「俺じゃないんだよ。」

「ウフフ、分かってるよ。キラーバグを作ったのは君じゃない。」

「あのぉ、実は私たちキラーバグの感染源が分かっちゃったんですよぉ。」

「えっ!」

エルノアは話を続けた。

「私、この前地表に降りたんですぅ。そしたら大きなアンドロイドさんとたまたま一緒に行動することになったんですぅ。でもその人のマグが教えてくれたんです、『私のマスターは悪いことをしている。怖いウイルスをばらまいてる。』って。」

「あんた、マグと話せるの?」

「えっ、ごめんなさい。よく分からないですぅ。」

ここまで黙っていたモンタギューが突然口を開いた。

「マルシア君、どうして僕たちが君にこの話をしたか分かるかい?君がウイルスの治療法を研究しているのは知っていた。だから、一刻も早く治療法を見つけてほしいんだよ。エルノアのためにもね。」

エルノアのためにも、というモンタギューの言葉が気になった。しかし、それどころではなくなった。感染源が分かれば治療法が見つかるかもしれない。マルシアは確かに希望の光が見えたのを感じた。

「俺がその感染源を捕まえてやる!」

「ウフフフ。よく言った。ではこっちにきたまえ。僕が秘密裏に使用している転送装置を使って地表まで送ってあげよう。感染源は地表にいるようだ。」

マルシアは二人に案内され小さな転送装置のある部屋まで来た。マルシアが中に入ると、エルノアは心配そうな声で言った。

「がんばってください。そのアンドロイドの名前は『バイハ』っていいますぅ。」

マルシアは大きく頷き、光とともに消えた。

「エルノア、きっと彼はやってくれるだろうから。君は早く安静にしてなきゃね。」

「はい。私はまだウイルスなんかに負けません。きっとマルシアさんが治療法を見つけてくれますよ。」