
強敵に打ち勝ち、俺は意気揚揚で進んでいった。
最後にたどり着いたのは、セントラルドーム。
ずいぶんでかい転送装置が置いてある。
とてもあやしい。が、俺は男。
すべるようにその転送装置にもぐりこむ!!
ばしゅっ
蒸し暑い空間。ただならない雰囲気。
肌がぴりぴりする。そして目の前にいるのは・・・・・・ど、ど、ど、どど・・ドラゴン!?!?!?!
ど、ドラゴンだ!!いや!マジで!?
ええ!??
うわ!
火ィ吐いてきた!!
あっち!あちあちあち!!
モノメイトモノメイト!!
空を飛んだ!!!うおーー・・・・・・・・・・・・。
剣とどかねえなあ・・・。
くるくる回って・・・
おわ!!
また火が!!!
あちちちち!!・・
ん?
あ。
ドラゴンが降って・・・
「たいへんな目にあってしまいましたね。二度と、こんなこと ないように、がんばってくださいね。」
うーん。俺がほんとに大変な目にあってるのにそれで済まそうとするのか。
やるな。このおねいさん。
好みだ!!・・・・てか、ドラゴンだよ。
ドラゴン。竜。
いやーーーー。ゴリラとかはふつーにいるからね。
よく考えたら。ね。
ドラゴンだよ・・?どうしろっつうだ。
生活のためドラゴンバスター始めましたなんて聞かないぜ。
こりゃ個人のレベル超えてるぜよ。
がぁしかし、これに挑んでこそ男。「ニツポン」の「サムライ」ね。困難、苦境、辛酸、これこそが男。決して苦痛がきもちいいんじゃないからそこは言っておく。
痛いのは痛いわ。
俺は作戦を考えた。
火を吐くドラゴンの懐に潜り、たたっきりまくる作戦だ。
なんていうか平凡に生きてきた俺だからさあ。
作戦といってもこれくらいなんだよね。
高価な武器とか防具なんて生活けずってまで買いたくないし・・。ねえ。
武士は食わねど高楊枝。
これだぜ。ナルシストって意味じゃないぜ。
からだ中すべての毛が逆立つ。
のどの奥が苦しい。手が、震える・・。
怖いんじゃない。恐ろしいんじゃない。
俺は、戦いたいんだ。
「たいへんな目にあってしまいましたね。二度と、こんなこと ないように、がんばってくださいね。」
いやーモノメイト買うのすっかり忘れてた。
狩で盗った防具や武器をうってモノメイト4個くらい買おう。
奮発して7個くらいにしようかな。
さて。ここまできて何だが、おれの左肩の上にいるこの物体は何だろう。
「マグ」と書かれている。俺は取説とかは読まない主義なので、これのことについて一切わからん。何だろ?
支給品だし、たいしたことなさそうだ。
そんなことより、ドラゴンを倒さねば!・・いざ!
「たいへんな目にあってしまいましたね。二度と、こんなこと ないように、がんばってくださいね。」
あーこの・・マグとかいうのモノメイトとか食べるんだなあ。
ケチって3個しかモノメイト買わないでおいたのがまずかったなあ。
結局さっきとなんら変わらない。
メセタのほうは大丈夫。
さっきチェックルームにいれてきた。
金利はないけど預けて安心。引き出すときも手数料いらず!
ひゃっほう!いざ、ドラゴーン。
まるで水の中にいるかのように、音にフィルターが被さる。
だが俺の目はドラゴンを捕らえていた。
息遣い、心音の高鳴り、右手の震え、今にも力が抜けそうな両の足。これが死闘。俺は今、死と隣併せで生きている!!
俺のセイバーがドラゴンの足を捕らえた!
ドラゴンがたまらず倒れこむ!チャンスだ!
俺はドラゴンの頭部めがけてセイバーを振り下ろした!
確かな手応え!休まず連続で叩き込む!!!
奥歯がぎしりと鳴り、体中が軋み、右手の感覚は薄れ、それでもドラゴンに剣を振り続ける。
ドラゴンが、最後の咆哮を響かせ、その巨体を地面に沈めた。
勝った・・。俺は、勝った・・。すべての力を使いきり、俺はその場にへたり込む。
まるで魂が抜けたかのような感覚になり、しばらくぼうっとしていた。
重い両足を奮い立たせ、俺はパイオニア2へ帰還した。
俺は今、ラグオルで最強になった。最強の野獣、ドラゴンを地に伏せ、俺は最強の野獣へとなった。
最強へと上り詰めるのは何と楽しいことか。心奮うことか。
しかし俺は今、最強へと。もう上る階段は無い。
最強を目指す熱い心と引き換えに、最強という孤独を手に入れた。
今まであったことを提督に報告する。
しかし俺の中身はすでにがらんどうだった。
再生テープのように、今まであった事を話すだけだ。最強とは、こんなに切なく無機なものか。
心半分で提督との話を終え、俺は帰路に向かう。
ラグオル。俺は、これからどうすればいい。最初の熱い心は。青い夢は。生きる為の・・・。生活。
俺は生活の為にラグオルに降りた。しかし、実際はどうだ。
心の底にあった「最強」を夢見た自分がそこにいた。
生活のためという偽りの目標で覆いかぶせていた。
俺は「サムライ」だ。最強なんだ。幼い自分の声が耳のうちでこだまする。
曇っていた。夢や想いが曇っていた。
しかし全ては済んだ。俺は、最強だ。
帰路につく前にもう一度ラグオルに降り立とうと思った。今降りなければ、俺はもう二度とここには・・こないだろう。そう思った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・洞窟・・・?
・・は?・・・・・・洞窟????
なんじゃこりゃ。ど、どうくつ?!?!
こ、こんなエリアがあったのか!??
な・・・なんてことだ。俺ぁてっきり「森」しかないもんだと・・・・!ふ。しかし俺は最強。
洞窟だろうと何だろうと今の俺には。
洞窟にいた地下モグラ(エビルシャーク)3体にボコボコにされて俺はメディカルセンターに送られた・・・。
「たいへんな目にあってしまいましたね。二度と、こんなこと ないように、がんばってくださいね。」
・・・あんたそればっかやな・・。
END |
タイトルからは、侍魂を持った硬派なハンターのストーリーを想像していたのですが・…(笑)
独自の拘りを持ち勇敢に振舞うも、かならず失敗する姿に好感を抱かずにいられません!
じゅうべい、いいキャラですね!
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