PSOみんなの広場





「よし、いくぞ」

数分間の説得の末、ナタは再びやる気を取り戻した。

説得といっても、その間レイは笑いっぱなしで、楓が必死になだめるというような感じだったのだが。

「デルセイバーは正面から攻撃しても、はじかれてしまうの。だから

レイが正面からデルセイバーの気を引くから、その隙に後ろに回りこんで、私とナタで倒す。わかった?」

「おー」

一人ナタだけが張り切った声をあげる。

楓はその返事に、不安が残りつつも、

「のりこめ〜」

とナタの声と同時にデルセイバー目指して駆け出した。



先にデルセイバーめざしレイが走り出すその後をナタと楓が追いかける。

そして、デルセイバーが現れるとレイが威嚇射撃を始める。

そこは手馴れたレンジャー。やるべきことはしっかりやる。

ナタはレイの事を見直した。

デルセイバーがレイに気をとられているうちに後ろに回りこみ攻撃を仕掛ける。

「ナタいくよ」

楓も普段は優しそうな顔から一転して、引き締まった顔へと変わっていた。

その表情にナタも緊張を覚える。

レイに気をとられているデルサイバーの背後からその大剣を振り下ろす。

まさに一撃。

ナタはそれに感動を覚えた。

「ふ〜たいしたことなかったわね」

と額の汗をぬぐう。

「あ、あ、あ、あ」

「??あ?」

「姉御〜」

ナタはあまりのかっこいい楓の姿におもわず叫んだ。

「姉御っす。かっこいいっす。すごいっす。最高っす」

「ちょっとナタ。恥ずかしいからやめてよ。姉御なんて」

「もう姉御っす。決めました。俺の目標です」

尊敬のまなざしで楓を見つめる。

そこへレイがやってきた。

「やったか。ん?どうしたんだあいつ?」

「しらないわよ」

と、むきになって答える。

「勝手にやらせておきなさい」

と、そっぽを向いてしまった。



「今度の敵は動きが鈍いからお前でも大丈夫だろ」

「おっしゃー」

「確かに動きは遅いけど、相手の攻撃は強力よ。それから・・・」

「あっち?」

といって親指をその対象者へと向ける。

「は〜」

楓の溜息と共に一人先に乗り込んだナタは、目標に到達することなく相手のロケットパンチの前に吹っ飛ばされていた。

そして、

「ぎゃはっはっはっはっはっは」

と、再びレイの豪快な笑い声があたりに響き渡った。

「ロケットパンチ恐るべし」

がく・・・。



それからもナタはいろいろな敵と出会い貴重な体験をした。

どっか〜ん

「はう〜」

と、とある魔法使いの魔法に吹っ飛ばされ

がつっ

「いぢ〜」

ふわふわといたエネミーにかみつかれ、

ぱっかぱっか、ずだだだだだ・・・・

「ひ〜〜」

仕舞いには馬に跳ね飛ばされと、ハンターズ1日目にして冒険の厳しさを身にしみることになったのだ。



「そろそろこの辺にしておくか」

「もうちょっといこうよ〜」

「なにいってんだよ。もうお前の体力は限界だろ。引き際も大切だぞ」

と言って、ナタの背中を軽く叩く。

「あれ?」

ナタはそのまま抵抗することなく地面へと倒れてしまった。

「ほらな。限界なんだよ」

「ははは、本当みたい。あれれ?たてないや」

ひざに手を置きもう一度立とうとするが思うように立ち上がることができない。

そして尻餅をついてしまう。

「きっと安心しちゃったのね。なんだかんだ言っても今日が初冒険だったもんね」

「ほら手だせよ」

とナタの手をとると軽々と持ち上げると

「ほら肩貸してやるから」

「いいよ。恥ずかしいよ」

「っていってもお前まともに歩けないだろ。先輩の敬意を無駄にするな」

「どうせなら姉さんの肩の方が・・・」

ごつ

「調子乗るな」

とナタの頭を小突く。その時おもわず手を離してしまった。支えを失ったナタの体は地面へと倒れていった。

ごつっ

「うぅ痛い」

「あ、わりぃわりぃ」

「ふふふ」

そんな二人のやり取りをみて楓はおもわず笑みをもらした。

「たまにはこういうにぎやかな冒険もいいわね」

「たしかにそうだな。最近は依頼人の仕事ばっかりで緊張の連続だったからな。こういう息抜きの冒険もたまにはいいかもな」

「それにしてもナタもすごいよね。始めてみる敵を目の前にして逃げずに、勇敢に挑んでいくんだもの」

「まっ別の言い方をすれば無謀とも言うんだけどな。けど、なんだかんだでナタもよく頑張ったな。正直、お前はすぐ音を上げると思ってたぜ」

返事が返ってこない。いつもなら

「俺に怖いものはなーい」

なんていい返してくるはずなんだが。

「あら。ふふふ」

「どうしたんだよ。楓」

「ナタ寝てるわよ。」

地面を寝床にナタは寝ていた。よくこんな環境で寝れると思うがよほど疲れてたのだろう。

「寝てるなら寝てるっていえよな。お前に話しかけている俺が馬鹿みたいじゃないか」

そして自らの背中にナタを担ぎ上げた。

ナタはそれでも一向に起きる気配はなかった。

「よく寝てるわね。あっ。よだれ」

「うおっ。まじかよ」

「ふふ。冗談よ。それにしても本当にお疲れさま。今日はもうゆっくりお休みなさい」

安らかに眠るナタに向かって楓は、やさしく声をかけるのだった。



す〜す〜す〜・・・がばっ

「あれ?ここは?」

起きたときにはベッドの上だった。

「起きたのね。ナタさん」

迎えたのはナースの人だった。

「ここはメディカルセンターよ」

周りを見渡すと同じようなベッドがいくつも置かれている。

「はて?どうしてここにいるんでしょうか?」

自分に質問してみる。もちろん答えは返ってくる分けないのだが。

「大丈夫ですか?」

心配そうにナースが話し掛ける。

「はい。まだ人間やってるみたいです」

「はい?」

しばしの沈黙。

しまった、はずした。

話をそらさなくては・・・。

「えっと、それより俺どうしてここいるんですか?」

「そのことでしたら、昨日レイマーの方とハニュエールの方あなたを連れてきてくれたのよ」

忘れていた断片がつながった。

そうだった。俺あの後、寝ちゃったんだ。ナースさんその二人は今どこに?」

「あなたを連れてきた二人ならあなたを置いてすぐに出て行ったわよ」

「そんな」

まだ礼の一言も言っていないのに。

「そういえばあの二人からアイテム預かってるわよ。アイテムなら倉庫に預けなさいよね。ここはメディカルセンターなのにね」

と言いながら奥のほうからアイテムを取り出した。

「はいこれ」

と、二つのアイテムを受け取った。

「これは姉さんの使っていた大剣」

うぅ姉さんありがとう。感涙。

「ふんっ」

気合とともにその剣を持ってみるが・・・。

お、重い。

「姉さん俺にはまだ無理そうです」

うぅぅ・・・。いつか自由に使いこなせるようになってみせる。

「それとこれはなんだろう」

レイが残したと思われる次のアイテムは・・・。

「最初に会った敵の手???デルセイバーって言ったかな?う〜ん。これはなんだろう。わかんないや。そのうち役にたつ日が来るかな???」

ハテナ乱舞。

いつまでも、アイテムを見て?を乱舞しているナタにナースは話し掛けた。

「はいはい。アイテムを見るのはその辺にしといて今日はゆっくり休みない」

と言い残しナースは部屋を出て行った。

ナタは素直にナースの言うことを聞くことにした。

今日の出来事をいろいろ思い出していた。

俺は冒険についに出たんだ。

改めて思う。俺よく生きてたな・・・。

体が興奮して寝付けなくなってしまいそうだ。

だがその心配は全然なかった。すぐに深い眠りへと落ちていった。



わいわい、がやがや

いつものようにロビーはにぎわっていた。

次の日ナタは再びここを訪れた。

「おし。体の調子もバッチグー」

一日寝たら体力もすっかり回復した。そして軽く体をほぐすように運動を始める。

姉さん、レイのところにはいつでも会いにいけるけど、今度会うときは強くなってから会いたいな。

せめて笑われないように・・・。

ぎゃはははは・・・

レイの笑い声が頭の中を行ったり来たり・・・。

はうっ

今度会うときは絶対に笑われないぐらい強くなる!

と、自分に強く言い聞かせる。

さてと、今日はいったいどんな冒険が待ってるのかな。

期待に胸を膨らませながら

「こんにちは。はじめまして。俺と一緒に冒険に行きませんか」

思い出しますね〜!
ナタの体験を通して自分を懐古し、胸くすぐられる思いがします。
初めてのオンラインプレイをした時はなにもかもが新鮮で、周りの人に親切にされたり励まされたりすると、すごく嬉しかったものです。
こういった思い出も大切にしたいですね!

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