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どうも。再び澄香です。時期が時期なので…はい♪
個性豊かなNPC達のクリスマスを書いてみました。

「じんぐっべ〜る♪じんぐっべ〜る♪鈴が〜鳴る〜♪」

ミセスサンタの衣装を身に纏い、巨大な白い袋を背負い、
トナカイに見立て(サンタ姿で涙しながら)走るカオスブリンガー。
それまたがって遺跡を巡るは、パイオニア1トップハンターにして
科学者でもあるリコ・タイレル。多くのハンター達が遺跡の
深淵の主に取り込まれている姿を確認している彼女が
何故ここにいるのか…
クリスマスだからの一言で、片づくはずはない…が。
この日はパイオニア2、ラグオル問わずクリスマス一色であった。


CACE1森エリア

「うっわぁ…」

コーラルでは滅多に見られななくなった雪に、
ハンター、アッシュ・カナンは嘆息の息を上げる。
小川にも氷が張り、普段なら飛びかかってくる原生生物も、
ここ最近の寒さで動きが鈍っている。ヒルデベアに至っては
発見報告がここ最近皆無になるほどだ。
ゴリラゴリラと呼ばれているヒルデベアも、
やはり「ベア」だったと言うことか…。

「と…いけね、仕事仕事っと!」

そう。まだ若いとはいえ彼もハンター。
雪合戦しに来たわけではない。
…が、彼の通った後に不格好な雪だるまがあったのはご愛敬。
悴む手でマップを開き、目的地へ向かったアッシュの見たのは…

「ぴ?」

サンタの姿のラッピーの群生地であった。
帽子だけではない。チョッキまで着ている手の込みようだ。

「こ…ここから探せと…」

ラッピー群生地と聞いて勘の良い方は気付いたかもしれない。
アッシュの仕事…それは…。

「がーるーすーはーかーせーええええええええええええっ!!」

アッシュの仕事…「クリスマスはラッピーと過ごすのじゃ〜っ!」
と言ってラグオルに降りたガルス博士を捜す事…。
まぁ、見つけるのは楽だった。
ラッピー達にサンタ帽子を配って回るラッピーがそうだ。

「見つけましたよ…博士…」

心なしかアッシュの声には殺気がこもっている。

「俺も暇じゃ無いんで…手短に話しましょうか…」

ガルス…と思われるラッピーは怖くて声も出ない。
そして…アッシュがそのラッピーに突きつけた物は…

「これ絶対にはずさないように!!」

クリスマスリースを象ったブローチだった。

「おお〜あの助手も気が利くのぉ…♪」

思わぬクリスマスプレゼントに喜ぶガルス博士。
…彼は知らない。これが発信器だと言うことに…
クリスマスだけでは満足しないだろう事を見越した助手が、
数日後に博士捜索を頼むであろうハンターが楽になるためとは…

「じゃあ、俺次の仕事の準備がありますんで!」

ギルドに戻ったアッシュは、そんなに多くない報酬を財布に入れ、
次の仕事の前に、雪の感触を名残惜しみに向かったのだった。


CACE2洞窟エリア

「「「ありがとうございました〜っ♪」」」

今日もナウラのケーキは大繁盛。
しかもこの時期クリスマス。ケーキの注文大殺到。
…食事制限のしかれているパイオニア2…
しかし誰も彼女らをとがめる者はいない…。
が…こんな日にも仕事の依頼は舞い込んでくるのである。

「えーっと…確かこの辺…急がないと…」

そう。ナウラのケーキの問題点。それは立地条件の悪さにあった。
長い洞窟エリアを進む途中にリタイアする物続出。
幸い、まだ死者は出ていないのだが…。

「クロエ〜…寒いよぉ〜っ」

「もうっ。アナったら…って…確かにつらいわね…でも時間が…」

何が辛いって洞窟エリアの入り口はクリスマスでも灼熱地獄。
その次のエリアと言うのが夏でも涼しい自然空洞なのだが、
外と繋がっていて、冬になるとさらに寒い。
この気温差にやられて一時撤退を余儀なくされる人が多いのだ。
が…この双子のハンターの目的はケーキではない…。

「どこですか〜!?」

洞窟で身動きの取れなくなったハンターの救助依頼であった…。

「クロエ…あれじゃない?」

「え……あらら…」

二人のHUnewealの見たもの…それは…。

「助けてくれぇ……」

アルダードビーストに殴り倒され、そのまま凍結した
不運なアンドロイドの姿であった…。

「…だ…大丈夫ですか?」

「まぁ…ばらばらよりは随分マシ…」

とりあえず凍り付いた滝に閉じこめられた彼の救助…。

「アナ…なるっべく手加減してね」

「ハーイ♪」

アンドロイド…ライオネルの脳裏に…
一瞬映ったものが…現実になった。

「ぶあっつうううううううううううううううううっ!!」

燃える男ライオネル。転がる男ライオネル。
体をばらされ、火事に焼け出され…
あげく救助しに来たハンターに焼かれる…
聖夜は彼に微笑まなかったようだ…。


CACE3坑道エリア

「うふふ…今日はクリスマスよ♪」

エリ・バーソンは今日もカルスと声無き会話を楽しんでいる。
わくわくとクリスマスを語るエリの言葉を受けながら、
声無き身のカルスは思い出す。
開発者があの坑道にしかけたちょっとしたお遊びの事を…。
と、言うわけで、その坑道では…

「あねさん…こんな日にも調査なんですか…?」

「そうよ。それとも何?誰か一緒に過ごす相手いるの?」

「…いません(涙)」

クリスマスも関係なし。相変わらず「何か」をしているスゥと、
その子分AとB。

「じゃ、そっちのデー……あら?」

「あねさん?」

「何かしら…何かプログラムが起動して…!?」
薄暗いはずの坑道が突然眩い光に彩られる。
突然の事に一瞬目がくらむが、慣れてきた瞳に映った物は…

「うわぁ……」

「すげぇ……」

一面に浮かび上がるホログラフ。それはクリスマスの飾りだった。
リース、ツリー、サンタクロース。そしてバックに流れるのは
旧世代の携帯電話が奏でる和音の無い安っぽいジングルベル。
安っぽい。しかしだからこそ気持ちを落ち着ける何かがあった…。

「……あねさん?」

「…あーあ。クリスマスぐらい楽しめって事かしらねぇ」

そう言って出口へ向かう彼女の足取りは軽かった。
それが制作者のお遊びなのか、坑道の奥深くにいる
カルスの同僚の成したことなのか…確認の術は無い…。