
遺跡エリア
「ここのエリアはほかとは違う。心してかからないと危険だからな。」
「はいっ!」
「ああ、気をつけるよ。」
私達は声を掛け合ってドアの向こうに進んでいった。
「っ痛!クソー!!キリがねぇ!神楽頼む!!」
「はい!ラバータ、ラフォイエ!!」
気味の悪い模様、血の色。
また倒れそうになったが堪えた。
梨雪もNEOも平然としている。
少しではあるが先に進んで行った。
「おい!梨雪少し下がれ!!出過ぎだぞ!どうしたんだ!?いつものお前らしくない!!」
「うるさい!!私は大丈夫だ。くっ!」
「梨雪さん!届けレスタ!!」
ダメだ。うまく届かない。
おかしい、いつもの梨雪とは違う。
私がそうこうしているうちにもどんどん傷ついていく。
NEOもそこからでは届かない。
「お願い、間に合って。」
その願いも届かずに梨雪はその場に倒れてしまった。敵が離れてこっちに向かってくる。
「うそ・・・。梨雪さん!」
「おい!梨雪何ふざけてんだよ!!」
返事はない。
私達は敵をすべてなぎ倒し、倒れている梨雪に近づいた。辛うじて息をしている程度だった。
「よし!ムーンを・・・。」
NEOは取り出そうとしたままの形で止まっている。
明らかに動揺している。
「NEOさん、どうしたんですか?ムーンは?」
「ない。さっきの戦闘で使っちまった。おい、梨雪聞こえるか!一度戻れ!!」
梨雪は苦しそうに転送ボタンを押した。しかし
「うっそだろ!!何で壊れてるんだよ、リューカーは!!」
唱えたがリューカーは開かない。
NEOはあれこれ試していた。
私はどうすればいいかわからず泣いていた。
「神楽!おい神楽!!」
痛さとともに正気に戻った。
どうやら平手打ちをくらったようだ。
「リバーサだ。お前練習してただろ!!」
「はいっ!」
集中。焦らずに・・・。
「リ、リバーサ!リバーサ、リバーサっ!」
何も起こらない。何度やっても無理だった。
私は泣き崩れてその場に座り込んだ。
「うっ、か、神楽、NEO・・・。」
「りっ梨雪さん、いっ今治しますから。」
「梨雪、あまり喋るな。体に触る。」
「いや、聞いてく・・・れ。ど、どうしても、助けたい人がいたん・・・。この・・・跡エリアで消えた。くっ私の妹だっうっ!」
「梨雪さんお願いもう喋らないで!」
「おい!しっかりしろ!!」
梨雪はなぜかニコリと笑い、それきり喋らなくなった。
もうあと数分ももたないだろう。
「神楽、お願いだ。お前しかやれないんだ。トリフルイドも全部やるから。俺の大切な仲間なんだ。梨雪も、神楽も・・・。」
「はい・・・。」
嬉しかった。
「仲間」と言う言葉が、今まで私を必要としてくれる人はいなかった。
初めての仲間。
憧れたこの二人。今ならLv30のグランツだって撃てる気がする。
私はゆっくり深呼吸をして静かに リバーサを唱えた・・・。
メディカルセンター
「ちょっと、梨雪また逃げ出そうとして!あなたは今絶対安静なんですからっ!」
「わ、わかった。悪かった。」
瀕死の梨雪がここまで回復したのは、「仲間」のおかげ。
神楽がリバーサをかけNEOがずっと運んで来たのだ。
転送装置の故障の原因は未だにわかっていない。
原因不明の電波が流れていたと噂で聞いている。
「あっ、梨雪さん。また看護婦さんに怒られてる。」
「梨雪、あんまり迷惑かけるなよ。世話してくれなくなるぞ。」
病室のドアが開いて二人が笑いながら入ってきた。椅子に座ってNEOは改まって切り出した。
「梨雪朗報だ。お前の妹が遺跡で見つかったぞ。」
「そうか・・・。」
と静かに頷いた。あまりにも普通に言うので私はびっくりした。
「お前、もっと喜んで笑えよ、前みたいに。」
「笑った?私が。いつ?」
「え?梨雪さん覚えてないんですか?遺跡で笑ったじゃないですか。」
梨雪は本当に覚えてなかったようだ。
突然NEOは梨雪の頬を両手でもって横に伸ばして笑ったような顔にした。
カッとなった梨雪は次の瞬間NEOを殴り飛ばしていた。
私は笑っていた。NEOも笑っていた。
梨雪は後ろを向いていたけれど、きっと顔を真っ赤にしているのだろう。
不意打ちを食らった梨雪の顔は一生忘れないだろう。
そしてあの時の笑顔も・・・。
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なにげない出会いから、かけがえのない仲間へ。
短い作品の中に、おたがいの関係の深まりが上手に纏められていましたね!
マイキャラがモデルになっているそうですが、卯月さんにも、登場した3人のような大切な仲間がいるのかな?
だとしたら、とても羨ましいです!
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