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今回は初投稿として思い切って投稿してみました。(エンデルク=ヤード)

序章

そう…あれは確か私が王室騎士団を組む前の話…当然ノーチェにもまだ入店していなかった頃。
私はハンターでもなく一般人でもなくただ母親の遺言を守るべく修行に明け暮れていたそんな毎日。

「強くなりなさい…強くなって名声を上げるのです。」

私の母親はハンターだった。女手一つで私を食べさせる為に体を張って仕事をしていた。
仕事の内容なんてものは選んでいなかった…当然危険な物もあっただろう。
そんな母親の背中を私は見ながら育ってきた。剣の修行を毎日やりながら…。

私が15になるかならないか…その時母はあるハンターズギルドの仕事で殉職した。
私は待っていた…母親の帰りを。しかし帰ってきたのは変わり果てた母の姿だった。

不思議と涙を流さなかった…感情が凍結したのか…それはわからない。
でも私は今に至っても思うことがある。

「誰か…私の心の寒風を塞いでくれる女性はいないものか…」

と…おぼろげに思ってしまうのだ。
甘い…他人に甘えるなぞ…そう自分を戒めてはハンターに登録しラグオルに降りる。

そして、私は知った。人間の蜃気楼の絆を…


第1章 出会いはしらべに乗せて

ラグオルに自前のアーマーを装備して降り立ち今日も修行に明け暮れていた。
何故こんな事をしているのだろう…疑問に思いながら。
この産まれつきの不気味な黒い瞳には誰も近寄ってはこないだろう…。
周囲はこう噂する。

漆黒の瞳と髪を持つ男
漆黒のエンデルク…と。

私はただ毎日目的もなくラグオルに降りて総督命令を無視しながらただ戦う事を必至として今日に至る。
心の叫び…ただ仲間が欲しかった。長い間の孤独に私は耐えられなかったのかもしれない…。
そんなある日の出来事だった…。

「暑い…」
私は洞窟にいた。周囲にはギルシャークがわらわらいる。私はそれを蹴散らし中へ中へと進む。
足元がふらついてきた…暑さのせいだろうか…?そこへグラスアサシンが出没する。
速攻で斬りこみにかかる。

ズシャッ!!

手負いのグラスアサシンはこちらに視点を向けそして怒り狂ったのかこちらへ向けて突進してきた。
ここまでは大方予想はついた。だが…今回は違ったのである。
襲われる前に剣をひとふり!!そう思ったその瞬間…

グラッ…

「おや…」
目の前がか歪んで見えた。いわゆる熱射病というやつだ…。情けない…。
その為に一瞬足がおぼつきそして体制を崩してしまった。
「うお…」
進もうと思っても足がからまって上手くいかない。
「ここで終りか…」
そう観念したその時だった。

パキィーーーーーーーン!!

何かの音がした。
目を開けてみるとそこには青い髪をなびかせたフォニュエールがグランツを唱え立っていた。
「早く殺して!!」
女の子はそう叫ぶ。私は咄嗟にグラスアサシンめがけて剣を振り下ろした。

ギャァアアアアアアア!!

悲鳴を上げて液体へと化していく…。
「大丈夫?」
先程の女の子がこちらへやってきた。
「ああ、ありがとう…助かった」
どうも女性は苦手だ…目の前にするといつも押し黙ってしまう、自分。
「いいのよ、困った時はお互い様ってやつね」
にこりと女の子は笑った。
「私はエンデルク、君は?」
「アタシはユナ。エンデルクって変わった名前ね?」
「…そうか?」
そうだろうな…普通じゃ私のような名前、ましてや漆黒の瞳と髪なんて持っていない。
「しっかし、その格好と打って変って未熟者のようね。グラスアサシンに不意をつかれるなんて」
キツイ一言だった…言えるものか、熱射病で足がふらついたなんて…
「ああ、修行中の身なんだよ。君の方が熟練してそうだな…」
「そお?ありがと」
またクスッと笑い出すユナ。
「笑顔が眩しいな。心が和んでくる…君のような人を見ていると」
「あら…それナンパ?くすくす…」
「…?」
そんなつもりで言ったんじゃないのだが…何故いつもそうとられるのだろうか?
「ところで君は一人でここにきたのか?」
「そうだけど…?あなたも一人みたいね」
「…私はいつも一人だ…」
…一瞬にして空気が暗くなる。
「あ…そういえば聞いたことある…漆黒のエンデルク…あなたが?」
「おや…随分と有名になったものだな…」
「たまたま知ってただけよ。通りかかったハンターが噂してたの。気味が悪いって…あ」
彼女は自分の失言に気付いたらしい。すまなそうな顔をして頭を思いっきり下げる。
「ご…ごめんなさいあ、そんなつもりじゃなかったの…ごめん」
私は彼女の咄嗟な行動に苦笑いをしながら答えた。
「構わないよ、いつも言われていることだし、事実自分でもそう思っている」
「え…」
「私も君達のようなスカイブルーの瞳を持ってみたかったものだ…」
私は天井を見上げながらそう呟いた。彼女はそれをフォローするように慌てて話しかけてくる。
「に、人間中身じゃないよぅ。問題なのはハートよ、ハート」
「…ハート…心か」

心…
考えたことも無い。自分がただ「剣」の腕を磨きたくてそればかり考えていて…

「ま、とにかく一度上がろうよ。随分疲れてるみたいだしね」
そうだった…洞窟に入ってからはやくも3時間…熱射病にもなるか…
「わかった、上がろう」
私はそう返事するとユナと一緒にバイオニア2にあがるのだった。

バイオニア2に戻ってきた。何処に行こうか相談した結果ハンターズ食堂にいこうということになった。
「お腹すいたぁ〜」
ユナが大きな声で呟いたその時、あるフォニュエールがこちらに向かって話しかけた。
金髪の髪がきらきらと光る小柄な女性だった。
「あれ?ユナじゃん!」
「あ…リナじゃない!!」
どうやら2人は知り合いらしい。ユナとリアは突然食堂の前で井戸端会議を始める。
それを黙って見ている私。
「どこにいってきたの?」
「あ、洞窟にちょこっといってきたんだ」
「ふーん、あそこ暑いからあんまり好きじゃないなぁ…」
「あはは、そうかもね」
「ところでさぁ…」
リアが私の方へ視線を移した。それを察したのかユナが私を紹介する。
「ああ、洞窟の中で偶然知り合ったの。エンデルクっていうんだ」
「へぇ…初めまして、私はリナっていいます」
「ああ、初めまして。エンデルク・ヤードだ。宜しく頼むよ」
自己紹介をして軽く会釈をするのにならって慌ててリナも会釈をする。
「ところでこれからご飯?」
「やだぁ、だから食堂にきたんじゃない。」
「あ…そっかぁ、失敬失敬」
「折角だし、リナも一緒においでよ。3人でなんか食べよ。いいよね、エンデルク」
「ん?ああ、構わないぞ」
「おっけい、じゃいこうよリナ」
「ういっす」
こうして私達は3人で仲良くハンターズ食堂でご飯を食べることになったのだった。

食堂の中、メニューをみてキャピキャピ騒いでいるユナとリナ。
レディーファーストだと思って先にメニューを渡したのが間違いだったのか、優柔不断な2人。
「決まったらいってくれ。私はもう決めてある」
「は〜い」
声をそろえて返事する2人。随分仲がよさそうだな。
しばらく相談した後ようやっと注文を取り目の前に食べ物がどっさりと並んだ。
「…………………」
目の前の食べ物をみて唖然とする私に気付いたリナが話しかけてくる。
「どしたの?」
「ん…いや、あの、これ、全部食うのか?」
「へ?日常茶飯事だけど…変かな?」
「いや…別に…」
見ているだけでも胸が一杯になりそうな量だった…。
ガツガツと食べあさる2人と静かにフォークとナイフを滑らせる私。
会話をしようにも食べることに夢中で2人ともこっちにきづいてはくれない。
「すごい…食欲だな…。育ち盛りそいうやつか…」
私は2人に聞こえないくらい小さな声で呟いた。

「あ、ところでさぁ…」
リナが突然手を止める。
「エンデルクって…あまりこの辺じゃ聞かない名前だけど…何処の人?」
「え…」
一番困る質問だった。
私の先祖の故郷は皆と違って海を越えまた遥か海を越えた土地だった。
そこには私のように黒い髪に瞳なんていうのはざらにいるのだが、1000年前くらい前、パルマ星が爆発した時、私達のような田舎者は船にのりきれず逃げ送れたのである。
だから私達の先祖は他の都会人と血を交わって色々な人間へとかわっていったのだが「私の」先祖は違った。
島国根性とでもいうのだろうか、何故かその村の人間としか交わらなかった。だから私はこの船でも最も少ない純潔の田舎人になる。
だから母親は私にいったのだ。田舎者が世間様に勝てるようになるには名声しかないと。
とかく、私は慌ててこうかえした。

「あ…どこだったかな…忘れちゃったよ、もう1000年も前の話しだしな…」
「あ…そうだよね…でもさ、黒い髪と瞳っていうのは結構珍しくない?」
「…よく言われるよ」
「そう、私はかっこいいとおもうけどなー、エンデルク」
「え…」
思わず私までもがナイフを止めてしまった。
「あーずるい。アタシもかっこいいとおもってたのにぃ」
ユナまでもがいいだす。
「おいおい…突然なにをいいだすんだ。」
「だってさ、漆黒のエンデルク…しびれるね〜」
「…漆黒のエンデルク?」
「あ、リナ知らないんだ。最近このシップをうろうろしてるハンターにはそう呼ばれてるのよ
いっつも黒い服きて黒髪で黒い瞳をしているからって」
「へぇ…漆黒のエンデルク…でもなんだか悪魔っていう響きだね…なんか嫌…」
「そうかなぁ、アタシはかっこいいとおもうけどなぁ」
「エンデルクはどう思ってるの?」
突然話しを振られる。
「ん…私か?そうだな…自分の名前に名称がつくのは悪いとはおもっちゃいないよ…」
「ふんふん、それで?」
「ただそれだけだ。周囲がどうみていようが私は変わらない」
「ふーん」
なにやら不満そうな2人。私に何を答えろというのだ…
「でさぁ、話し変わるけどこれからどーすんの?」
「にゅー特に決めてないよ。エンデルクは?」
「…そうだな…私も特に予定なしだ」
「そっかぁ…」
食べ終えたリナが机に肘をついて考え出す。
「せっかくヒューマーもいることだし、少し修行に付き合ってもらおうかな、私」
「…そのヒューマーというのは私のことか?」
「…当然でしょ。他に誰がいるのよ…」
呆れたという顔をするリナ。
「それ、賛成。あ…でもさっき洞窟でグラスアサシンに殺されそうになってたからあてにならないかも…」
グサッと来る一言…
「ふぇ…そうなんだぁ。てっきりガダイがいいから強いのかと思っちゃった。残念」
「…悪かったな…」
私がぼそりと呟く。
そこに一人のヒューマーが声をかけてくる。
「よぉ、彼女達。これから暇?」
オレンジ色の服を着たいかにも今時の若者だった。
「んー特に予定はないんだけど…」
「そっかぁ、じゃあ俺と一緒に軽く坑道にでもいかない?ばっちり援護するよ」
「だって…どうする?ユナ」
「んーアタシはかまわないけど…エンデルクは?」
「あ?エンデルク…?あの漆黒のエンデルクか?」
ヒューマーが急に私を睨み付けてきた。
「…ああ、そうだが。それがなにか?」
「ふぅん、あんたがねぇ…。ねぇねぇ、こんな奴ほおっておいて俺と一緒にいこうよー。こいつと一緒にいると何言われるかわかんないぜ?」
「……」
沈黙する私に向かってリナが突然机をぶっ叩き大声で叫んだ。
「そういう言い方ってないんじゃないの?!同じハンターの仲間じゃん!」
それに便乗するようにユナまでもが叫びだす。
「そうだよ!!エンデルク、とってもいい人だよ!!」
「…………………」
それに圧倒されてかヒューマーは黙り込んでしまった。その沈黙を破るがごとく私は口を開く。
「まぁ、丁度これで4人だ。仲良くみんなでいったらいいじゃないか」
「ちっ…」
軽くつばをうつとヒューマー頭をかきながらこういった。
「わーかったよ、じゃあ4人でいこう。」
「おっけい、それならいいよ」
「アタシもそれならおっけい」
「……」
「じゃぁ、早速いこうぜ。俺の名前はガドル。宜しくな」
各々自己紹介を済ませて早々と坑道に向かうのであった。