
「あいつ、絶対隠れてんのよ、ここに。私が怖いから」
私と少女は坑道の入り口に降り立っていた。アントニオ・Sはデ・ロル・レ遭遇の数日後に行方不明になっている。少女の言い分だと、あの化け物につけた名前の事で復讐されるのを恐れて雲隠れしたらしい。やれやれだ。
「私が坑道に行けないと思ってるんだ。ふふん、あいつはAランクハンターっていっても、わたしより戦闘力は低い。ハッキングの能力があるから、ここのロボットの制御を奪えるだけ。見つけて痛い目に遭わせてやる」
「とにかく、探そう」
私はため息をついた。何回目だろう。なぜこんな依頼を受けてしまったのか。
坑道の探索は厳しいものとなった。Bランクフォースの少女を守りつつ。探索を進める。募集要件がSランクだったのに納得がいった。これはAランクハンターでは荷が重い。次の小部屋には敵の反応はない。少し休もう。
!!
「お、おいっ!」
「なに?」
振り返った少女が氷漬けになる。フリーズトラップだ。これだから人間は・・
あらためて部屋を見回すと、隙間なくびっしりトラップが仕掛けられている。
効率もなにもあったもんじゃない。これは異常だ。
少女の前に出てトラップを除去する。
「絶対、あいつだ。あいつの仕業だ」
後ろで少女が喚いている。もうちょっと凍ってて欲しい。
「尋常じゃない数だな」
「ふん、気が小さいからね」
ふと、背筋がぞくりとした。振り返ると、空間が歪んでいる。これは・・・
「シノワ! テレポートだ。さがれっ!」
少女をつきとばす。数は? 1,2,・・・6体!!
「痛ったぁ。これもあいつの仕業だ。ちっくしょー。ただじゃおかない」
頼むからだまっててくれ。6体も相手にすると、さすがに私も命が危ない。
侵入者よけといっても常軌を逸している。私もアントニオを殴ることにしよう。
最後の一体を倒し終える頃には、私も少女も怒りで頭に血が上っていた。
「こんなにいろいろ仕掛けてるってのは、この奥に来て欲しくないってことだ」
「そうだな。この奥の小部屋が怪しい。ご対面と行くか」
小部屋のドアを開ける。
うずたかく積み上げた食料品の真ん中にその男はいた。
「あんたねぇー」
少女が歩み寄る。こいつがアントニオのようだ。
「ロ、ロルちゃん。違うんだよ。わざとじゃないんだ」
何の用で我々が来たのか、わかっているようだ。必死で弁解を始める。しかし
ロルちゃんか・・・。なんというか、殴る気がなくなってきた。
「うるさい!あんたのせいで私は彼氏もできないよっ!責任取ってもらうからね」
「せ、責任?」男は涙目になっている。
「聞けば、あの化け物は何百匹もいるっていうじゃない。あんたは私の奴隷になってあいつが地上から一匹残らずいなくなるまで、戦うのよ! いい! それから報酬は私8割、あんた2割ね」
「ひっ」男は絶句した。ちょっと可哀想になってきた。まぁ私が口を挟めるような状況じゃない。
「早速明日からやるよっ」
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依頼は無事終了して、私は2万メセタを受け取ることが出来た。しばらくしてデ・ロル・レというフォースが、デ・ロル・レを倒し続けている。というちょっと都市伝説めいた噂が流れてきた。元気にやっているようだ。
私も少女のために1体減らしてくるか。 |
初めは、クールなタッチのストーリーかと思ったのですが、デ・ロル・レ(ハンターの方)が登場したとたん一転してコミカルな展開に。彼女の魅力がとても光っています!
引きずりまわされる事となった主人公も、最後の一文から察するに、まんざら悪い気はしていなかったようです。
気になったのですが、みなさんこういったキャラクターをつくる際、どういうところから発想をしているのでしょうか?
実際のモデルがオンラインにいたりするのかな???
『ロビー便り』では、みなさんからの投稿小説を募集しています。素敵な作品は、こちらのコーナーでご紹介致します。詳しくは『投稿する』ページをご覧下さい。
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