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はじめまして! PSO関連の小説を書きました。ぜひご一読ください。 (かになべ) |
この前、森で手に入れたソードが大きく空を切った。止めとばかりに振りかぶった三撃目だったために、その小柄なハニュエールは大きくたたらを踏んでしまう。
大急ぎでバランスを保とうとするが刃渡り二メートル近い巨大な剣はその小柄なハニュエールの少女、ホタルの手には余るものだった。
眼前のナノノドラゴの額に光が集まる。思うに任せられない体は、皮肉にもその方向を凝視させてくれた。
集まる光を見つづける恐ろしく長い一秒の中に、先輩ハンターの声が帰ってきた。
「女なんだから慣れないうちははハンドガンかセイバーにしておけ」
女なんだから・・・。うるさい! うるさいうるさいうるさい!! それを見返すためにソードでここに来たんだから!!
そんなホタルのざわめく心を見抜いて、それを嘲笑うかのようにナノノドラゴが狙いを定めた。やられる。
そのとき、ナノノドラゴの頭が、横っ面を張られたかの様にあらぬ方向を向いた。とたんにレーザーが放たれ、溶岩の照り返しで赤く染まる洞窟の地面をめくれ上がらせる。間をおかずに二発、三発とくる衝撃に、ナノノドラゴは身体をくねらせた。
「ホタル!!」
凛とした声が洞窟に響いた。声の主のほうを見たい衝動を抑え、目の前で再び頭をもたげ始めたナノノドラゴの首をなぎ払った。長すぎる刃はナノノドラゴの首のみならず身体まで真っ二つに切り裂いた。
はぁっ! と、大きく息をつきソードを地面に突き立てると、その場に座り込んでしまった。
「ホタル! だいじょうぶ!?」
さきほどの声の主が走り寄ってきた。頭をめぐらせると、ハンドガンを携えたハニュエールの姿が見て取れた。
「・・・サトミ・・・」
「もう! 無茶ばっかりするんだから!!」
ホタルの言葉をさえぎって、サトミが言い放った。ホタルのすぐそばまでくると、頭の上に左手をかざした。左手に光が集まる。集まった光は指向性を持って降りかかった。心地よい暖かさに包まれる。
「・・・レスタ・・・、覚えたんだ」
急速に傷と疲れが癒えるのを感じながらつぶやいた。その言葉に満足したかのようにサトミが微笑む。
「誰かさんが無茶ばっかりするから。補助と回復を優先させたわ」
サトミとは逆にホタルは攻撃系を優先させている。すでにギゾンデまで習得済みだ。一方回復の方はさっぱりだった。
「さ、帰りましょ」
と、言うが早いか、サトミはすでにテレポーターを作っていた。人ひとりが入れるぐらいのサークルが光を放っている。
「じょーだん! せっかく回復役もきてくれたんだから、もう少し奥まで行ってみようよ! ね!」
「だめ」
無下に断わるサトミに、ホタルは食い下がる。
「だって、ほら。向こう側に・・・」
「だめったらだめ!! 私のレスタなんてそんなに強力じゃないの! いったん戻って、準備を整えて、それからにしましょ」
サトミが厳しく言った。まさに取り付く島もない。ホタルはしぶしぶうなずいた。 |
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