小川: |
話が飛ぶんですけど最初にEP3をやるとなった時「引き続き小林くんにお願いするか(※3)」となったわけですね。だけど、カードにシステムを変えたということもあり、もう少しSFよりはファンタジーの方を出してちょっと違うムードにしたいと。そういう要望をウェーブマスターさんの方に投げたんですね。じゃあ、誰々…という話がでてきて。で、ソニックの時にちょこっと床井さんとやってたので「じゃあぜひ床井さんで!」とお願いしました。
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床井: |
僕はその時「それは小林くんではないのか!?」って思いましたよ(笑)。
でも3はこれまでと違う仕様、違う遊び、ということを聞いて「じゃあ、やりましょう!」って引き受けたんです。
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小川: |
でもね、難しいんですよね。3というものは。
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床井: |
そうですね。3ということと、完結ということで、今回はかなり難しいんだろうなと思いましたよ。
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小川: |
あらゆるジャンルを含めて、やはり3作目というのは難しいと思うんですよね。今までの通り作っても大抵「面白くない…」って言われる。かといって奇をてらいすぎると「え〜っ!」って言われちゃう…。難しいなぁと。
例えば映画監督にしても、同じ物を続けて3本撮っちゃうとやっぱりテイストが似ちゃうし、面白くないとか「1が良かった」とか言われることが多いんですよ。
今回EP1&2の見吉、畑コンビから、DC版のVer.2まで係わっていましたけど、僕がやるということで、社長にも聞いたことがあるんですよ。「小川テイストになってもいいのか?」って。
そしたら「いいぞ」って言われまして。「ただ(シリーズを)完結させろよ。」みたいなことも言われて。じゃあ小川テイストで、僕が思い描いてるPSOはこんな感じかなぁっていうものを形にしていった感じですね。それにあたって音楽も少し変えてみようって。
それで最初にテーマについても話したときも、今までのシリーズとちょっと違って、アナログな感じとデジタルな感じとを融合した方向性でお願いしますってことを言ったんですよ。
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床井: |
あと、クールで洗練されたイメージでというものがありましたね。
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小川: |
そうですね。
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床井: |
そのテーマで始めたのですが、こっちが考えていたものとやっぱりちょっと違っちゃって(苦笑)。
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小川: |
いや、そんなに違わなかったですよ。違わないのは違わなかったんですけど、途中で限界を感じたんですよ。曲を作り続けてもらう中で、そういう話が少し出てきていたんで、これ以上はバリエーションを出しにくいのかなと…。
じゃあ、もう少しリズムのいい方向性のものを入れたりとかしてみようかなと思いまして。
僕もコンセプトに沿って曲を作っていくことは大事だと思っています。ただ、コンセプトがしっかりしてて1つの方向を向いているのであれば、その幅が多少広くても大丈夫だと思っているんですよ。
途中からデジタルでリズムのいいものを入れてもらったわけですが、よくなったと思います。ほんとに。
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床井: |
やっぱり最初の方に作ったものと後半の方で作ったものとでは移行してるというか…。ただそこで全てトータルで考えた時に、じゃあ1個の何かテーマ性みたいなものって何か?というものを、僕はすごく考えてしまう人で。
ただ、ず〜っとやっていくうちに時間を考えないというか、システム的にも曲的にもそういうものが大きいなと感じて『無限』というテーマを(笑)。
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小川: |
(笑)。でも広がりも出て、最終的には本当によくなったと思いますよ。
今回は『光と影』というテーマがあったのですが、僕の中でだけ『2つ』というキーワードがあったんです。ゲームのストーリーの中でも光だったり影だったりみたいなのがありますし、歌詞の中にも実はそういうのを入れてもらってて。元々のPSO自体が光と影みたいなところを背負ってるんで、そういうのをそのまま継承しつつ『2つ』というものに気をつけながらやってましたね。
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床井: |
実はですね、偶然にもサントラの2枚組みの組み分けも光と影になってたりするんですよ。
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小川: |
なるほど〜。
あと僕は、床井さんのゲームミュージックに対するスタンスをお聞きしたいですね。気をつけてることとか。
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床井: |
ゲームミュージックで気をつけていることは、やっぱり『最終形を考えながらつくる』っていうところですかね。画面にくっついた時の効果というものを考えながら作っているんですけれども、考えすぎて「あれ?」っていうこともあったりして。
でも、やっていくうちに「おぉ〜、いいじゃない、いいじゃない!」って自分もどんどん盛り上がっていくのがわかるっていうのが、一番楽しいところですね。ゲーム音楽ってやっぱり自分も楽しめないと音楽が生きないですから。
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小川: |
ですね。まずは作っている人が楽しめないと、ダメですよね。今回は僕も個人的な嗜好を入れつつ楽しみながら作らせてもらいました。その分大変でしたけど…。大勢のスタッフが本当によく頑張って作ってくれました。
お、時間のようですので、最後に締めの言葉を何か。
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床井: |
今回は全てを出し切ったというか、僕の中での集大成ですね。ほんとに全力で小川さんに向かわないとOKが絶対取れませんから(笑)。
ゲーム全体の音楽を考えると、バリエーションもすごく増えたしゲーム性も消化できたとは思ってます。
実際プレイしていて盛り上がるところはちゃんと盛り上がっていると思ったし、SE(※4)のみで完結しているところもあったりするんですけど、そこもSEとゲームがちゃんとマッチしていたり、僕の中でも驚くことが多かったんで、今回は楽しめて出来ました。
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小川: |
今回の曲は良かったですね。色々直してもらった分納得いくものが出来たかと思います。大抵作るときはあんまりそこまで突っ込んで言わないんですけど、今回はディレクターをやるということで、突っ込んで言わせていただきました。いやぁ、ご迷惑をおかけしました。
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床井: |
いえいえ『ゲーム性を上げるための努力をどこまで出来るか?』というのを改めて考えなきゃいけないというきっかけを与えてくれたという点では、すごくよかったと思っています。
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小川: |
今後も床井ワールドをソニックチームや色々なところのタイトルで出していってもらえればと。要チェックで聴いてますんで、ほんとに。
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床井: |
こちらこそ、またよろしくお願いします。
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小川: |
今日はどうもありがとうございました。
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床井: |
どうもありがとうございました。
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