Hitmakerのスタッフによるリレーコラムです


「肉と脂の黄金律」のお題と一緒にこのコラムが回ってきましたが、残念ながら世の中はお肉受難の真っ只中にあります。
このコラムが載る頃には落ち着いているといいんですが…
俺は吉野家でカレーなんか食いたくないぜ!

というわけで、今回は今年で9年目になるプログラマーの黒澤です。
食い物も仕事も雑食性ですが、脂っこいところが好きなのは共通しています。

肉と脂の黄金律、といえば考えるだけで腹が減りそうなメニューがいろいろ浮かんできますが、やはり本命は

 東坡肉(トンポーロー)

じゃないでしょうか。要するに豚バラの角煮です。
赤身と脂身の最強コンビネーションといえばこれしかないでしょう。
中国北宋の詩人、蘇東坡(蘇軾)が考案したと言われています。
もちろん、個人的に神認定です。
とりあえず煮汁だけでご飯3杯は確定です。

バリエーションも多い料理ですが、いくつかの本式(?)らしきレシピを探すといずれも恐ろしく手間のかかるもののようです。
文献によって、焼いて煮て蒸す、茹でて揚げて蒸す、など全然ちゃうやん!
というツッコミを入れたくなるほど違いますがとにかく手間隙のかかる料理なのは間違いありません。

今まで自分が色々な所で食べた角煮の中に果たして「本物」はあったんでしょうか。
確かに、材料は同じなのにお店によって全然違いますよね。

起源も黄州・杭州など諸説あるようですが、「蘇東坡が黄州に流刑されている時に誰も食べない豚を東坡肉を考案することで広めた」というのが一番ロマンチック(←ツッコミどころ)ですね。
でもこの手間の掛かり具合とは矛盾するよなぁ、とか思ったり思わなかったり。

ところで、この蘇東坡先生、ものすごい多芸の持ち主だったようです。
詩人としても超有名ですが、書画にも優れ政治家としても科挙の時代にあって中央のブレーンまで上り詰めるという無敵っぷりです。
政治抗争に巻き込まれて2度の流刑を受けながらも、その間に多くの優れた作品を残すなどその精神的な余裕にも驚かされます。

よく耳にする「春宵一刻値千金」のフレーズもオリジナルはこの人です。

春宵一刻値千金 花有清香月有陰
歌管楼台声細細 鞦韆院落夜沈沈

瞬間の情景や感情という無形の情報を詩や書画を通じて有形に再構成する、この能力こそまさしく現代にあってのクリエイターです。

師と呼ばせてください。いやマジで。
このコラム用にいろいろ調べているうちに、そう思いました。
多芸に無芸とはいいますが、居るところには居るものです。

閑話休題、
最近のオススメはファミマのチキンタツタです。
調理タイミングが良ければカリカリ・ジューシーな黄金律を奏でてくれます。
ところで最近、会社の前のファミマは他の店に比べてチキンタツタの在庫が常時増えたように思われます。
自分と次回指名の彼がほぼ毎日食ってるせいでしょうか。
でも、個人的にトンポーロまんは少々いただけませんね…

ということで、次回は自分と同じ肉食目脂身科の山浦君にお願いしましょう。
お題は「おにぎり」。でも、何でおにぎりなんでしょうね?(笑)



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■黒澤 雅仁(プログラマー)
入社9年目の敏腕プログラマー、黒澤さんでござい。
小学生のときに雑誌に自作ゲームプログラムを投稿して小遣いを稼いでいた、というエピソードからもその敏腕っぷりがうかがえます(俺にはゲームを作るなんて発想自体なかった……)。
現在は「頭文字D」の開発もひと段落して、ようやく落ち着いた時間を過ごせているらしいのですが、ちょっとお腹周りが気になり始めた模様……。その理由、コラムの内容にアリと見た!
過去のプロジェクトは「ツーリングカーチャンピオンシップ」、「セガラリー」等々。ちなみに愛車は“S2000”。

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