Hitmakerのスタッフによるリレーコラムです


どうも、執筆依頼をブッチしていた松本です。
2回も前フリいただいたので、お題は『オレと藤子不二雄』で行きたいと思います。

僕らが子供のころから読んでる「ドラえもん」「おばけのQ太郎」「キテレツ大百科」「怪物くん」は有名ですが、藤子作品にはこれら以外にも名作が数多くあります。
そんな隠れた(?)名作の中から、今回は『連載』作品の自分ランキングを個人的に勝手に好き放題発表していきたいと思います。

ホントは第10位まで考えたんだけど、あまりに長いので涙をのんで第3位からの発表です。

第3位『まんが道』 藤子不二雄A

A先生の自伝ともいうべき作品で、「満賀道雄=藤子不二雄A」と「才野茂=藤子・F・不二雄」のまんがにかけた2人の青春ストーリー。
普通に読むと才野の努力や才能に、嫉妬したり、ショックを受ける満賀のネガティブな性格を強く感じるのですが、何度も読むと、満賀の方が実は社交的で明るく、才野=F先生の方が内向的で、ブラックな部分も持つことに気づきます。
高岡高校卒業後、一度新聞社に就職する満賀に対し、就職せずマンガにすべてを賭ける才野。
新聞社で芳野さんや竹葉さんにデレデレする満賀に対し、その間自宅で一人マンガを描き続ける才野。
普通は「笑ゥせぇるすまん」や「魔太郎がくる!!」等から、A先生の方がブラックなマンガを描く漫画家と思われがちですが、「異色短編集」からもわかるように、F先生もA先生に負けないぐらいのブラックなマンガを描く漫画家なのです。
F先生が亡くなった今、叶うことはありませんが、F先生の描いた「まんが道」も読んでみたいものです。

第2位 『T・Pぼん』 藤子・F・不二雄

平凡な中学生「並平凡(なみひらぼん)」が、2016年(←あと13年だよ!!)からきたタイムパトロール隊員「リーム」と出会い、ひょんなことから見習いタイムパトロールとなって活躍するタイムトラベルものの作品です。
タイムパトロールは、歴史上不幸な死に方をした人を(歴史を変えずに)救うのが仕事なのですが、「ぼん」と「リーム」達のかかわる事件は、アメリカ・トゥームストーンで、だまし討ちで殺される運命の男性を助けたり(OK牧場の決闘)、メソポタミアでの大洪水で一家を救助したり(ノアの箱舟)、砂漠で命を落とした少年騎士を救助したり(十字軍遠征)、ピラミッドに閉じ込められた男を救助(ピラミッド建設)等々、歴史上有名な事件・事象ばかり。
ドラえもんのタイムマシンでは描けなかった、歴史に介入する危険さと歴史の面白さを、事実とフィクションの絶妙のバランスで描ききった傑作です。
史実を扱っているだけに、結構簡単に人が死んでいくので、ドラえもんやキテレツ大百科のような藤子作品とはかなり趣が異なり、ハードな印象を受けるかと思います。
個人的には、第二次世界大戦の特攻隊員を救助する「戦場の美少女」のエピソードに泣けてしまうのです。
歴史を勉強中の中学生はぜひ!

第1位 『モジャ公』 藤子・F・不二雄

知らない人も多いでしょうが、最高です。マジで最高傑作です。
文庫版のあとがきにもありましたが、これがスター・ウォーズより先に世に出ていることがすごいです。
日本人に生まれてきて良かったと思います。おかあさんありがとう。
宇宙生物のモジャラ(モジャ公)とロボットのドンモに誘われ(さらわれ?)、おんぼろロケットで宇宙に家出することになった天野空夫の冒険旅行を描いたストーリー。
21エモンの後半で描いた宇宙冒険SFギャグマンガのりをさらに進化させ、SF(サイエンスフィクション)部分の完成度がめちゃくちゃ高い作品です。
ギャグマンガなのに、ハードでブラックな展開も繰り広げられ、F先生がかなり好きに描いていることが見て取られる内容になっています。
特に後半の「自殺集団」「天国よいとこ」「地球最後の日」は必見です。
なんかタイトルだけでも読みたくなるでしょ?
ドラえもんしか知らないライトな方に、ぜひ見てほしい作品です。
あ、ちなみにアニメ版「モジャ公」はぜんぜん違う内容になってしまっているようです…。
今から読むなら文庫版でどうぞ。


次回は、5年間同じプロジェクトでがんばってもらっている、プログラマーの森さんにお願いします。
お題は、オレとテニス!!


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■松本 功(ディレクター)
「頭文字D」チームの中ボス、ディレクター松本さんでございます(大ボスは新井P)。「セガラリー2」からずっと車ゲームの開発に従事。
ゲーム作りに関するこだわりはハンパじゃなく(まあ、ゲームプレイすれば一目瞭然ですな)、一切の妥協を許さない一本気なディレクターらしいのですよ、うんうん。
ようやく「Ver.3」の開発もひと段落。次のタイトルに向けて新たな闘志を燃やす松本さんに、敬礼!

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