Hitmakerのスタッフによるリレーコラムです


えー,締切24時間前に話を振られた鈴木です。
今回,ヒットメーカーが誇る精鋭広報部隊は,TGSの準備に奔走するあまり,このコラムの存在をすっかり忘れていたそうで。かと言って,「白いワニが見えたから休載」という訳にもいかないとのことで,笹原ボスから強制的に命令を受け,今回埋め草の文章を書くこととなりました。

で,ボスから頂いたテーマは「建築」。
確かに学生時分は建築学科にいました。しかしお世辞にも真面目な学生とは言えず,またそこを卒業したのも遥か昔の話。現時点で考えれば,私なんかよりも『P○n』や『C○s○ B○u○us』などを読んでいる市井の方々のほうが詳しいに違いありません。

そんな限りなく減少した知識から今を見ると,ここ最近の建築人気には本当に驚くばかり。先に挙げた雑誌類の隆盛はもちろん,「デザイナーズマンション」なる謎の言葉は生まれるわ,テレビではリフォーム番組が好評だわ(先達,渡辺篤史の『建もの探訪』の立場は?)…。また,安藤忠雄氏は今やアイドル並みの人気じゃないですか。

でも,その道を外れ,また我が家を建てることなど全く考えられない今,現実を見るよりは「たられば」の世界を振り返ることで建築の楽しさを感じています。それは「来なかった未来」。実際には建たなかった建築に想いを馳せるという遊びです。

例えば東京都庁舎。今は二本の角のついたものが立っていますが,それに決まる前には他の建築家による怪しげな(誉めてます)案がありました。また例えば秋葉原タワー(第2東京タワー)。今じゃほとんど忘れ去られた感がありますが,数年前,JR山手線を跨いで800mもある電波塔を作るというバカげた(もちろん誉めてます)計画がありました。さらには東京湾をほとんど埋め立てて巨大都市を作るという,『Akira』もびっくりなとんでもない計画(言うまでもなく誉めてます)も実際に発表されたことがあります。

そんな素敵な建築が全部実際にこの世に存在していたら…。

こういうのは夢想しているから楽しいのであって,それがいざ現実となったら正直がっかりすることも多いのですが(『ホームズvsルパン』,または特撮ヒーロー大集合のようなもの),でもせめてモニターの中にだけでも,誰か作りませんかね?(権利関係の処理が大変そう…)。

そういえば先日,ニューヨークに行った際にお約束でグラウンド・ゼロを訪れてきました。ここにはダニエル・リベスキンドという建築家(ベルリンのユダヤ博物館で有名)の計画した案が立ち上がる予定なのですが,その代わりに同じく案をぶち上げていたシド・ミードの建築(斜線都市の雰囲気がたまらんのです。っつーか,敷地からはみ出してるよそれ)が建ってたらなぁと,その姿を頭に描きながら空を見上げてきました。

こんなところで埋まったでしょうか。
次回ですが,このコラムも残り5人ほどらしいので,またもや笹原ボスに強権を発動してもらいたいと思います(誰が書いてないのか調べるの面倒なんで)。ではよろしく。


<< BEFOR ISSUE | NEXT ISSUE >>

HHP
HHP
■鈴木 喜文(デザイナー)
「アヴァロンの鍵」チームのデザイナー鈴木さんです。第一印象は「静かな人」&「ナゾな人」。なので写真も↑ナゾ。
本人「人嫌いなだけ」なん言ってますが、周りからは『いろいろ気をつかってくれる優しい先輩ですよ』との声。
休みの日は、早起きして散歩→ギャラリー→古本屋&図書館みたいな、ありふれているけど素敵な1日を満喫してるようでちょっと羨ましかったり。
最近気になる事をあげてもらったら『岡村靖幸』『クラフトワーク』『SIGUE SIGUE SPUTNIK』と3つの答え。って、なんとなくわかるようで、なんだか全然見えてこない(笑)

HHP