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今回は『頭文字D』シリーズを手がけるディレクター、マッツーさんにお話を伺います。よろしくお願いします。 |
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よろしくお願いします。 |
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『頭文字D Special Stage』が発売されて2ヶ月半ほどたちましたが、ディレクターとしての感想を聞かせていただけますか。 |
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おかげさまで予想以上の売れ行きになりうれしい限りです。みんなありがとー! |
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予想以上の反響だったということですか? |
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うん、反響は大きかったと思う。熱い応援や感想のメールもいっぱいいただいたしね。普段は「レースゲームはあまりやらない」みたいな方でも原作やアニメ版のファンで購入してくれた人も多かったみたいで、「燃えました!」とか感想がきて嬉しかったです。それから純粋にレースゲームだからって購入した人も結構いたみたい。だから操作感にリアルさを期待していたプレイヤーの方の感想には、「何でハチロクがこんな速いんだ!」とかあって(笑)。その辺は『頭文字D』なんで勘弁いただけると助かります…。 |
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マッツーさんが『頭文字D』をゲーム化しようと思ったきっかけを教えてください。 |
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2000年に1作目の『頭文字D Arcade
Stage』が出たわけですが、この前は、『NASCAR ARCADE』というストックカーのレーシングゲームを手がけていたんです。そのレースのカテゴリーのジャンヌをもとにしたレーシングゲームとしては、自分たちのチームの中で非常にビジュアルのクオリティーも含めて満足のいく出来だったんですが、少々作り手とユーザーのニーズに少しギャップがありましてね(苦笑)。 |
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NASCARは車好きの人には広く知られているレースで、外国ではメジャーなタイトルとしてファンも多く抱えていますよね。日本人にとってのF1のようなメジャーなタイトルですがゲームセンターに来る中学生、高校生にはあまり馴染みがないかもしれませんね。 |
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そうなんですよ〜(苦笑)。そこがゲームを開発するにあたっての難しいところですね。良い物を作ったんだけど、ゲームの題材がお客さんの身近にイメージできる存在じゃなかったのかなと個人的に感じていました。
ゲームセンターを見ても、当時あまりレーシングゲームが盛り上がっている感じではなく、これじゃいけないなっていう思いがありました。自分が中学生、高校生の頃通っていたゲームセンターの様に中高生の「男子」たちに、学校の帰りにゲームセンターという場で楽しんで欲しいという思いが前提にありました。
そしてゲーム内容的に『NASCAR』から『頭文字D』への開発の流れですが、『NASCAR ARCADE』は30台が一度にレースを戦うんですが、このゲームのおもしろさはプレイヤー(自分)が一番後ろのポジションになり、一番前を目指すところにあります。それは1対「多」の戦いの楽しさです。自分がそのゲームを作っている時から、次回はそれとは逆の「1対1」のレーシングのバトルがしたいなって思いがあったんですね。当時のレースゲームでは「1対1」のレースバトルの面白さを追求したものはないと感じていたんです。
ロッソは前にも『セガラリー』というゲームを作っていて、ドリフトで走るおもしろさっていうのも追求していたこともあり、「1対1」のバトルと「ドリフト」を組み合わせておもしろいゲームにならないかと試行錯誤しているときに『頭文字D』のタイトルが浮かんできたんです。『頭文字D』はヤングマガジンに掲載されて幅広い読者に支持されているということと、舞台は国内のストリート、車は国産車ということもあり、多くの人に興味を持っていただけるんじゃないかと思いました。 |
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これはいけるんじゃないか?って言う感じですね。 |
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そうです(笑)。レースのおもしろさとキャラゲーのおもしろさ。2つのおもしろさをうまく融合して、今までにないレースゲームを作りたい。その思いが一番強かったです。 |
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お客さんをもう一度ゲームセンターに来ていただこうと試行錯誤した試みは他にありますか? |
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カードシステムですね。今までのレースゲームって一回レース遊んだらそれでおしまいだったじゃないですか。 |
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そうなんですよ〜。いいところまでいったなと思って満足しても、次回また来たときに1からゲームを始めなくてはいけないと言うのはなんだか悔しくて。 |
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わかります。「一回遊んではい終わり」だと、次の日ゲームセンターに来てもう一度遊ぼうというモチベーションを保ちづらいですよね。『頭文字D』だとゲームのバトルに勝てなくても、カードを利用することによって、少しポイントが増えるから、そのポイントを貯めて自分の車をチューニングして速くなっていくというおもしろさもある。少しでも遊んでくれた人への感謝のしるしっていうか、バトルで勝利するための手助けっていうか、そういうことができればいいかなって思いました。 |
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私自身あまりレースゲームは得意じゃないんですが、ヘタはヘタなりに徐々にでも腕上げたいなって思っているんです。負けてももらえるポイントで車をチューニングしていったり、少しずつでもコースを制覇していく達成感とか、カードシステムの恩恵にあやかりっぱなしです(笑)。 |
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カードシステムのもう一つの利点は、ライバルをやっつけていくと画面上に赤でバッテン印がつくんです。ゲームが進んで、攻略していく感じが出てるから、プレイヤーの達成感も大きくなっていくのかなって。 |
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カードを入れるたびに自分の腕が上がってくるのを見るって言うのはゲームの醍醐味でもありますね。 |
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自分の体験談になっちゃうんだけど、うれしかったことは、仕事の帰りに電車に乗ってた時、『頭文字D』のゲームをゲームセンターで遊んできた帰りの少年たちに遭遇して、二人でカードを見せあいながら「俺このステージまで進んだんだぜ」とか「この車トレードしようよ」とか話してるの。あーうれしい!!って思ったよね。そのゲーム作ったの俺なんだよねって言いたくなっちゃったりして(笑)。恥ずかしいから言わなかったけど(照)。それがまたゲームセンターじゃなくて、電車の中って言うのがよかったんだよ。偶然だけど、うれしかったな。 |
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ゲーム作って良かったなと思う幸せな瞬間ですよね。 |
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話は『頭文字D Arcade Stage Ver.2』に移ります。Ver.2では乱入対戦が加わりましたが、それも「1対1」のバトルを意識した結果ですか? |
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乱入対戦は本当『頭文字D』の世界観を表しているんだと思います。実際ゲームセンターでバトルを申し込むことで盛り上がっていけばいいなという思いもありました。乱入対戦はファンからの要望も多かった要素なので。 |
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乱入対戦が加わることによって、バトルの緊張感も増しますしね。プレー中いつ誰が参戦するかわからない、期待と緊張。 |
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その緊張感が「バトルしてるぞー!!」っていうアドレナリンを放出しますよね(笑)。 |
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『頭文字D Special Stage』では『頭文字D』シリーズ初のコンシューマーゲームということもあり、アーケードには無かった追加要素が多く見られますね。 |
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そうですね。アーケード版でもバトル前にキャラクターが出てきて盛り上がるってあるんだけど、PS2版ではもっと『頭文字D』っぽさを出していきないなと思い、実現したのがアニメ版と同じ声優さんを起用してのフルボイスなんです。
それからバトル中のセリフもPS2版では重要ですよね。「いけてるぜ、お前!!」とかね。今までのレースゲームでここまでキャラクターを前面に出したってなかったんだけど、バトル中にキャラクターに話しかけられることによって励まされたりしたりね(笑)。声優さんの力はすごいです。もう声優さんなしには戻れないもんね、寂しくて。 |
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『頭文字D』シリーズを手がけて一番うれしかった体験は何ですか?
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パッケージはしげの先生に書き下ろしてもらったんです。それは個人的にすごくうれしかった。まさか引き受けてくれるとは思わなかったので。
発売されているコミックス、ヤンマガ、カラー原画集には、カラーの拓海と啓介の2ショットはいままで無かったんですよ。タイトルが『頭文字D Special Stage』でスペシャルですから、これを記念して二人の2ショットをお願いした所、しげの先生が引き受けてくれたんです。さらにハチロク&FDまで描きこんでいただいて、ホントにスペシャル!! |
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ファンの一人としても忘れられない経験になったわけですね。 |
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そうですね。パッケージだけでもファンとしてはマストアイテムですよね。 |
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最後にメッセージをお願いします。 |
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気軽に始められるけど、熱い公道「バトル」が楽しめるレースゲームになってます。まだプレイしたことない方、是非プレイしてみてください! |
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マッツーさん、どうもありがとうございました。 |
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ありがとうございました。 |