Vol.12・ホクトベガ

100選順位: 25位
ホクトベガ
父:ナグルスキー
母:タケノファルコン

第42回エンプレス杯、当日はあいにくの雨にもかかわらず川崎競馬場は、 ケーエフネプチュン(地方)とホクトベガ(中央)の女傑対決を一目見ようと 云うお客さんでごった返していました。
単勝オッズもそれを象徴するかのような2頭の一騎打ちムードで、 馬柱も回避馬続出の寂しい7頭立て。
自分も含め、恐らくあの場にいた大多数の人が直線の2頭の叩き合いを 想像(期待)していたに違いありません。
ところがそんな思いも、スタート後1週目の正面スタンド前で早々と崩れ去って しまいます。
必死で逃げようとするケーエフネプチュンを馬なりでかわしにかかるホクトベガ。 徐々に場内がざわつき始め、2週目の向こう正面にさしかかる頃には それはどよめきに変わっていました。
結局、その差は詰まる事無く2番手以下の馬がまだ第四コーナー付近で もがく中、ホクトベガはただ一頭悠々とゴール板を駆け抜けて行きました。
馬なりの18馬身差、障害転向の噂もあった同馬だけに、 新境地での復活劇は正直嬉しかった反面、地方馬との格差を見せつけられ ちょっと複雑な思いだった記憶があります。

ドバイでの最後のレースまで、結局ダート戦では鞭要らずだったホクトベガですが、 あの日大差のゴール後、ハズレ馬券を握り締めた競馬オヤジの言い放った一言が、 その後の大躍進ぶりを一重に物語っていたと思います。

競馬オヤジ(絶叫)
『こっ、コノー!!賞金ドロボーっ!!!』

text:星 野(デザイナー)