Vol.11・メジロドーベル

100選順位: 19位
メジロドーベル
父:メジロライアン
母:メジロビューティー

サイレンススズカに続き2頭目のコメントですが、 名馬100選の原稿を書くという話になったとき、書きたい馬として真っ先に思いついたのが、 サイレンススズカとメジロドーベルでした。
サイレンススズカについては、強さと、ドラマ性の両方を持っているし、 馬券的にもお世話になったからではあるが、ドーベルに関しての思い入れを改めて考えてみると、 不思議と特に理由というものが見当たらない...でも好きだったのは確かなのです。

彼女の競走馬としての僕にとってのハイライトは、ダンスパートナー、エアグルーブ、メジロドーベルと、 三世代のオークス馬が揃った有馬記念で、当時はその3頭の強さから、 「人も馬も女性の時代」とか言われていたような気がします。 (人間界の女性の時代はまだまだ続いていますが...。)
そのせいもあって、馬券は、メジロドーベル & エアグルーブ 馬連1点勝負。結果は惨敗で、 今にして思えば損な買い方をしたなあと思うのですが、当時は、本当に来そうな雰囲気が蔓延していたわけですよ。

生涯通してのこの馬は、阪神3歳牝馬を含めると、5つものG1を制した、もの凄い馬なのですが、 一つ上の世代の女傑エアグルーヴはもちろん、もう一つ上のダンスパートナーと比べても、あくまで僕の印象では、 強さというものは感じない馬でした。それは、先の2頭が一線級の牡馬と対しても互角かそれ以上に戦えたのに対して、 ドーベルは勝ち負けすらできなかったからでしょう。

ここまで述べてドーベルに対する思い入れの理由付けを再考して見ますと、もちろん、 全盛時のエアグルーブと勝ち負けを演じたわけですから、能力的なものは疑いないのですが、 男勝りなイメージとかがない分、強く、優雅な女の子みたいな印象を抱いていたからかなと思いました。


text:井 上(プログラマー)