![]() ![]() |
![]() |
||
![]() この馬はクラシック戦線においては、たいした戦績は残せませんでした。しかし、旧5歳となり本格化してからのこの馬は、バレンタインS〜毎日王冠までの間に、G1宝塚記念を含む破竹の6連勝を飾るわけですが、単に勝つだけではなく強い競馬というものを見せつけられてきました。当時の僕には逃げ馬というよりは、スタートからゴールまで全ての地点において他馬より優れているという印象で、展開に左右されずレコードを連発するような時計だけで勝つというレース運びでは、馬券的にも逆らう余地など全く無いものでした。 先のエアエミネムが勝利した神戸新聞杯(9/23)においては、「G2では3年前の毎日王冠のような豪華なメンバー」とも形容されました。その真偽は彼らのこれからの活躍から判断されるとして、その毎日王冠においては、エルコンドルパサー、グラスワンダーを抑え完勝。そして、おそらく日本においての総決算となるはずだったサイレンススズカ最後のレース、秋の天皇賞。ハナを切って、どんどん突き放す姿に「どんなタイムが出るんだ」と、ワクワクして見てました。しかし、周知の通り4コーナー手前にして優れた競走馬ゆえの悲劇にあうこととなりました。オリンピック全米予選でのM.グリーン&M.ジョンソン、サッカーブラジル代表ロナウド、そして今年の競馬界ではアグネスタキオン。 人馬を問わず、超越した運動能力を持つ者は常に己の肉体の限界との戦いがあるもので、この悲劇も避けて通れなかったものであるのかもしれません。 そして、もちろん僕の中での最強馬という評価もそれまでの戦いの中で十分なものではあります。しかし、仮に天皇賞(秋)を走りきっていたら起こっていたであろう、他馬をブッちぎり完勝する雄姿と、続いて歓声とともに表示されるタイムが見たかったというのが心情でもあります。 text:井 上(プログラマー) |
![]() |