Vol.04・ありがとうライスシャワー

100選順位:11位
ライスシャワー
父:リアルシャダイ
母:ライラックポイント

私がこの馬の存在を知ったのは、多くの人がそうだと思うが、92年のダービーです。

私が某C社(ゲーム会社ではない)に入社して1年目、毎日の研修でむしゃくしゃしていた同期の連中との輪を深めるために、私が企画した日本ダービー観戦ツアー。
そっちの内容はまあ良しとして、私が買っていたのは実は5(マヤノペトリュース)-15(ミホノブルボン)。デビュー当時から追い続けていたファンには申し訳ないが、この時は正直、16番人気のライスは眼中になかった。
レースは、ブルボンの圧勝よりも2着争いに注目された。ゴール手前のハナ差の競り合い。
200m付近で観戦していた私は、「よっしゃ!獲った!」と叫んだが、ターフビジョンには無情の写真判定。この時までは、その前の年の有馬記念で優勝したダイユウサクのようなイメージでしかなかった。そう思っていたのは私だけではないはず。

秋を迎えて菊花賞、それを打ち砕くかのように、彼は7戦無敗の栗毛の怪物ブルボンにレコード勝ちをして唯一土をつけたことで、私の彼に対する想いを変えてくれた。
翌年の天皇賞(春)では、王者マックに対しても2馬身半の差をつけレコード勝ち。一躍スターの座にのし上がる。
その後スランプに陥ったかと思われたが、旧7歳の春、2回目の天皇賞(春)制覇。主役のブライアンが回避したということもあったが、最強のステイヤーのこの俺だ!と言わんばかりの見事な復活劇。
その復活神話が一転悲劇と変わってしまったのが、忘れもしないファン投票第1位での宝塚記念。3コーナーあたりでのことだった。
今も文章を書いていて、目が潤んできてしまうほどの悲しい出来事である。
ファンの前から姿を消した彼だが、ファンの心には一生刻みこまれていることだろう。

最後に、「同世代に強い馬がたくさんいたことで、君を軽視していたよ。ごめんね。
君は本当に強かった。感動をありがとう。君のことは一生忘れない...。」

text:野 田(ディレクター)