えー、こんにちは。ゾルゲールです。 今回は「ASTRO BOY 鉄腕アトム アトムハートの秘密」の秘密、と題しまして、いまどき珍しい本格2Dアクションである本作が、どのように作られたか…その愛と感動のドキュメントを、スタッフの談話や、私の適当な捏造話も交えてお話しましょう。 まだ発売されてないから、いざ出回って、みなさんの評価ボロクソだったらトホホなんだけどね。その場合は、みんな私のせいだとお思い下さい。 では、はじまりはじまり。 ●そのはじまり まず今回の「ASTRO BOY 鉄腕アトム アトムハートの秘密」は、言うまでもなく「アトム生誕の年」である2003年のブーム再燃と、完全新作として生まれ変わった「アストロボーイ 鉄腕アトム」に呼応して企画されたものです。 それ以前の2002年7月に、セガは「手塚プロダクションが保有する全キャラクターの包括的独占ゲーム化権及びサブライセンス権」を取得しており、なんだかしょぱなから難しい文章を書いてて頭痛くなってきましたが、 「これはもう『アトム』行くしかないだろう! 2003年のクリスマスにドーン!」 という話を私のところに持ってきてくだすったのは、現社長の熊谷さんです。 「キャラクターもの」のゲームがうまくいくかどうかは、ゲームとしての内容以上に、キャラクターの選定と取得がキモですので、その意味で「アトム」の企画は、私よりもむしろ熊谷さんと言ったほうが正しいでしょう。 当時自分であたためていた企画が、あたためすぎたのか孵らないままフラフラしていた私は、そのリハビリを兼ね、また手塚ファンということもあって、熊谷さんのお話に乗って「GBA用アトム」の企画をスタートさせたのでした。 ●職人集団トレジャーとの出会い さて、「GBAのキャラクターもの」ということで、私は「これは妙なことはやめて、素直にストレートな2Dアクションゲームを作ろう」と決めました。 ただ、決めたはいいものの、私はこれまで2Dアクションを作った経験がなく、そればかりか妙でキテレツなゲームばっかり作ってきましたので、ここでハタと困ってじっと手を見ました。 するとどうでしょう!そこには、ふしぎな宝の箱のような紋章が… 「おお!!マハー・カーラ!」 なにが「おお!!マハー・カーラ!」なのかよくわかりませんが、それこそ、今回開発に全面的なご協力をいただいた、「株式会社トレジャー」のロゴマークだったのです。 「株式会社トレジャー」 それは、ゲームマニアなら知らぬものはない、泣く子も黙る硬派のゲーム製作集団。 その完成度の高いアクションゲームの数々はマニアの絶賛を集め、武道館では女子高生が失神し、その拳は天を引き裂き、その蹴りは大地を割ったとされております。 古くはメガドライブの「ガンスターヒーローズ」「ダイナマイトヘッディー」「幽々白書 魔強統一戦」「エイリアンソルジャー」、サターンの「ガーディアンヒーローズ」「シルエットミラージュ」「レイディアントシルバーガン」、そしてドリームキャストの「爆裂無敵バンガイオー」「斑鳩」などなど…、セガ関係だけに絞ってみてもこれだけの数、まさにキラ星のような傑作群を誇る、熱すぎる男のメーカーです。 私の脳裏に、「ガンスターヒーローズ」で、ゴールデンシルバー戦に熱く燃えた日々が、「エイリアンソルジャー」で、Xiタイガーを瞬殺したものの、セブンフォース楓を倒せなくて泣いた日々が、さらに「斑鳩」いまだにクリアできないけど井内さんあれはいったいどうなってるんだという日々が、走馬灯のように駆け巡りました。だいたい走馬灯ってよく聞くけど、実物見たことないよな。 走馬灯の話はさておき、「アクションと言えばトレジャー!トレジャーに作ってもらうしかない!」という電撃のような啓示に撃たれた私は、そこで「トレジャー!」と叫んで風呂から裸で飛び出し(いつ入ったんだ)街を走り回ってローマ兵に捕まりましたがそれもさておき、勇躍トレジャーの門を叩いたのでした。 2003年の1月のことです。 次号へ続く・・・ |