
コメント
卯月と申します。PSOノベライズ2回目の投稿です。
前回の作品を読んでくれた方には感謝します。
また新しい話が浮かんだので書いてみました。
読んでくれればうれしいです。 |
こ
ネェ、気付イテ。ボクハココニイルノニ・・・。本当ハ知ッテルンダ、ナノニ気ガ付カナイフリシテルンダ。ネェ、オ願イ、ボクヲココカラ出シテ。
ボクハ、ココニイルヨ・・・・。
「ねぇ、いい加減に早く決めたら?」
「うーん、そうなんだけど。なんか良いのがなくって。」
「良いも悪いもないんじゃないの!?フィノあんたいつまで迷ってるの!?たかだかマグじゃない!」
その怒声に人々は振り向き私達に注目する。
「ふぇ〜ん。そんなに怒らないでよぅ。いいよ、リーフちゃんは先に行ってて。」
そうなのだ。私こと、フィノは新人ハンター(ハニュエール)・・・のはずなんだけど。ラグオルにもガル・ダ・バル島にも降りれない理由がある。それが先ほどのリーフちゃん(フォマール)とのやり取りにあった“マグ”の問題。マグとはハンターズにとってはとても重要なアイテム。特に私達のようなヘッポコ新人にとっては必需品なのだ。時には命の恩人ともなる。だから、私がマグを選ぶまでは“下”には降りられない。リーフちゃんは何回か“下”に降りたことがあるらしい。いくつか話は聞いた。私も早く降りて実物を見てみたいんだけどなぁ。どうして、私はマグを選べないのかというと、どのマグを見ても「これが私のパートナーだ!」と思える子に会えないの。「たかだかマグ」と思うかもしれないけど、とても大切な友達と私は思っている。そう気安く選べない。今日も一日マグ探しで終わってしまった。ねぇ、私のマグはどこにいるの?
オーイ、イイ加減ニ気付ケ!!ボクダッテ怒ルコトガアルンダゾ!!ココ!ココダッテバ・・・・・。グスッ・・・・・・・。モウ、イイヨ。
私は今日も同じ夢を見る。小さな男の子だ。泣いている?怒っている?笑っている?
どれもちがう。あぁ、そうか。この子は私を呼んでいるんだ。迎えに行くよ。どこにいるの。場所を教えて。え?私のすぐ近く?
なんだろう?急に視界が白んできた。雪だろうか・・・。男の子も遠くなっていく。
「ねぇ、待って。もっと詳しく教えて。迎えに行くよ必ず!!」
男の子はニッコリと笑って何かを言っていた。音は何も聞こえない。無声映画のようだ。もう自分の声も雪の積もる音も聞こえない。視界がすべて白くなる・・・・。
「おーい、フィノ起きろ。今何時だと思ってるの?」
勢いよく起きあがった私は何かに頭突きをかましてしまった。頭がくらくらする〜。
「いっ痛〜。リーフちゃん!?ごごご、ごめん!」
ままま、まずい!リーフちゃん怒らしちゃった。どうしよう。怒ると怖いんだよ〜。
言葉遣いも悪くなるし。
「いったいなぁ!おい、フィノなにすんだよ!」
たじたじになりながら弁解というか言い訳というか、とにかく誤り続ける。
「ほ、本当ゴメン!ワザとじゃないんだから。そ、それにリーフちゃんもっとおしとやかにした方が良いんじゃないの?」
その言葉で彼女は我に返ったようだ。ハッとしたような表情になりコホンと一つ咳払いをした。この癖が出ると、私はほっと出来る。
「あ、あそうだ。リーフちゃんどうしたの?何か用事でもあったの?」
「ああ、そうだ。今日こそはフィノにマグを選んでもらおうと思ってさ。起こしに来たんだよ。」
「じゃあ、私着替えてくるから。ちょっと待ってて。」
私は寝室に戻り着替えをしながら夢のことを考えようとした。が、思い出せない。頭ぶつけたせいかなぁ?とっても大事な夢だったような・・・。
「フィノー早く〜。」
「あ、はーい。今行く。」
急いで服を着てブーツを履いて、リーフちゃんの後について行った。そう、夢のことはすっかり忘れて。
ここは新人ハンターの登録所。これからハンターズの試験を受ける者、合格しハンターズ登録をする者。そして私の様にマグを選ぶ者が来る場所。早く私もマグを選ばなきゃ。リーフちゃんのマグは彼女の青の服とお揃いの青いマグ。とっても似合っててうらやましい。彼女自身も気に入っている様で肌身離さず付けている。私の服は赤色。やっぱりマグの色も赤が良いかなぁ?フラフラしながらマグを見ていく。マグにもいろいろ表情がある(ように見える。)
「おーい、フィノ、フィノ。このマグがいいんじゃない?」
リーフちゃんがなにやら見付みたい。手招きしている場所に行ってみた。そこには、私の服と同じ色をした赤いマグがいる。でも、何かが違う・・・。
「うーん、ごめんリーフちゃんこの子は私のじゃない。」
訳がわからないという様な顔をしている彼女を尻目に私はまた違う場所に目を向けた。
その日も結局パートナーは見つからなかった。
ナァ、オイ!オ前。ボクヲ迎エニ来テ来レルンジャナカッタノカ!?嘘ツキ!!
またあの夢だ。ん、また?あ、そうだ。昨日この夢を見たんだった。ご、ごめん。今度は必ず迎えに行くよ。あの、昨日聞けなかった場所を教えてよ。そ、そんなに怒った顔しないで。ね?ヒントだけでもいいからさ。え?一番隅っこにいるの?うん、うん、わかった。あと、私が近くに来た時に何か合図とか出してくれないかなぁ?声出してくれるの?うん、わかった。今度こそ行くから。一通り話が進むとまた視界が白んでいき男の子は消えてしまった。よく、考えたら変な約束だ。どこにいてどんな姿をしているかもわからない相手と約束するなんて。そんな、変な気持ちで目覚めた。寝てたのにとても疲れた気がする。ノロノロとベットからはい出して。着替える。そして、昨日と同じ登録所に向かう。夢のことを考えつつマグを見ながら歩く。
「コッチダヨ。」
何か聞こえた。振り返って辺りを見回してみる。私に声を掛けた人はいない。やっぱり空耳かなぁ。
「コッチ、コッチ後ロダヨ。」
空耳なんかじゃない。あの、夢の声だ。後ろを振り返って声に従って歩く。
「ソノママ進ンデ。」
声の主を捜して。マグが並んでいる一番隅っこに着いた。そこには私の服の色と同じ赤色のマグがいた。思わず手に取ってみる。その瞬間私のパートナーはこの子だと思った。
「ヤット見ツケテクレタ。」
声はこの子だったらしい。深呼吸をして笑顔で答えた。
「時間かかっちゃってゴメンね。君だったんだ。私のパートナーは。」
「本当時間掛カッタナァ。ズット待ッテタンダヨ?」
「でも、ちゃんと約束は守ったよ。」
それから、一呼吸おいたて私は言った。
「じゃあ、早速行こう。冒険へ!!」
こうして、私はやっとハンターズの一員となった。冒険はまだ始まったばかり。
ネェ、気付イテ。ボクハ、ココニイルヨ・・・・。 |
ようやくパートナーを見つけることができたフィノ。ここまで時間がかかった分、マグとの絆がよりいっそう強まることでしょう!
ハンターズとなったその時から一緒にいるマグですが、もしかしたらみなさんのキャラクターにもこんなドラマが隠されていたのかもしれません。
かけがえのないパートナー、ずっと大切にしてあげてくださいね。
『ロビー便り』では、みなさんからの投稿小説を募集しています。素敵な作品は、こちらのコーナーでご紹介致します。詳しくは『投稿する』ページをご覧下さい。
また掲載作品への感想もお待ちしています。同コーナーまでどしどしお便りください!
※投稿はストーリーの完結しているものでお願い致します。 |
|