PSOみんなの広場

 




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どうもこんにちわ。澄香と申す者です。
PSOはDCのオフしかやったことが無いのですけど、
シナリオとか見ていると想像する楽しみが沸いてきて小説を一本書いてしまいました。読んでいただけたら幸いです。


ね?

大事にされてたマグは、
マスターのこと大好きなんですぅ。

…言葉は通じなくても、
ちゃあんと心はあるんですから!

…ボクハ…ココニイルヨ…

MAG
The shine was born from darkness

それは…確かに感じ取っていた。倒れ伏したその子が、
暗い闇の中へ引きずり込まれていくのを。
それには、何もできなかった。
でも、必死だった。絶対守る。そう決めていたから…。

それは、その子のことが大好きだった。
小さい頃から、一緒だったわけじゃない。
でも、自分を暗い闇の中から引っ張り上げてくれた人だった。

「何でここってこんなに素マグが転がってるのかな?」
「さぁ?ここのエネミーが仲間と思って拾ってくんじゃないの?」
「じゃあ…なんで素マグなんだろ?」
「ああ。いえてる。こんなに素マグ保管する必要ないもんね。」

この日から、その子のアイテムバッグの片隅がそれの居場所になった。
いっつも一緒。
ご飯をもらって、それは少しずつ賢くなった。
自分はマグ。
ご飯をもらって成長した力をハンターに分けてあげるのがお仕事。
でもまだ、その子とお仕事はしていない。先輩がいたから。

でも一緒にいて、それはその子のことがわかってきた。
背中に羽根みたく浮いているよりも、横でふわふわ浮いている方が好き。
「こっちの方が、生き物っていうか、相棒って感じがするのよねぇ。見たいとき見れるし。
 あ、あの人かっこいい…。」
ついでに言うと、ちょっと…いやかなりのミーハーらしい。

しばらくたって、それは力を使えるようになった。
まだ使ってない。でも、先輩がその子を守ると、撫でてくれる。
それは、いつかその場所にいられるようになりたいと思った。

賢くなって、それは知った。主を亡くした友達が、いっぱいいること。
その友達が、坑道と言う場所に、いっぱいいること。

「ねぇ、荷物の関係で引き取ってもらった子って、どこに行くのかな?」
「ん〜素マグは新米ハンターズに支給されるって聞いたけど、 あるていど育った子には自立機能つけて民間の方に行くらしいよ。
 このマグ。そのときうちに来たやつなんだよ。」
「ふ〜ん。私はこれで3個目なんだけど…ちょっと安心した。」
「まぁ…マグ細胞って結構貴重らしいから廃棄はされないって。」
「そっかぁ…。」
その子は、そのとき心底安堵していた。
それと、先輩も、心底安堵していた。

それが先輩に代わってその子の横にいるようになってしばらくして、それは、自分の出自に気がつき始めた。

目の前の、大きな影。自分の力の具現に、よく似ていた。
ああ、自分はこれなんだ。それはそう思った。
影と、その子が戦っていた。
それは、その子に味方した。そして、勝った。

それは見た。その影の中に、その子の仲間がいたのを。
それは聞いた。赤い輪が、自分を励ましてくれていたこと。

「…思ったんだけどさ…あれってパイラに似てなかった?」
「ああ。みんな言うよな。」
「……この子は…信じていんだよね。」
それは、ちょっと不安になって、その子の周りを回って光を発した。
ボクハズットイッショダヨ…?
「まぁ、こいつらがいなかったら勝てなかったもんな。」

もっと怖い生き物がいっぱいいる場所にその子は行くようになった。
それが、その子を守るために力を使うことも多くなった。
戦ってる時間が長くなって、ご飯の間隔も長くなってきた。
でも、その子はちゃんと自分のことを忘れなかった。

その子が、倒れることが多くなってきた。
「あれから、あんたの背中を守れるくらいになるってのを目標にしてたからさ。」
そう言ったハンターが、羨ましいと思った。
そのころから、それは、声を聞くようになった。

ソノ子ヲツレテオイデ…

声は、深いところから聞こえてきた。
その子も声の方向へ向かっていたから、それはその子を守るだけでよかった。

だけど…それは気がついた。
赤い輪が…あの影の中にいて、呼んでいるのはその影だと言うことに。
それは…不安になった。その子が、赤い輪のようになってしまうんじゃないかと言うことに…。

「これで何回目ですか?」
「…だいぶ…。」
それは、ベッドの上で寝ているその子にちょっとだけ謝った。
それは、力を押さえるようになった。
つれていっちゃいけない。そう思うようになったから。
だけど…その子は強くなっていった。
自分が何もしなくても、そこまで行けるようになってしまった。

困って、悩んで、考えて、出ていくことにした。
そしたら、その子はそこまで行けなくなると思って。

それは、星中を彷徨うことにした。だけど…変な気持ちになった。
どの場所も、みんなその子と行ったことのある場所だったから…。

森の木陰で、空を見ていた。あの空の上にその子はいるんだろうか?
自分より下の方に、その子はいるんだろうか?それとも…。

「見つけた…っ!」
……………っ!?

その子は…自分と同じ土の上にいた…。
何でわかったんだろう?とか…色々考えたけど…やっぱり…嬉しかった。
そして…そうしてさっきまでの気持ちが、寂しさだと言うことをそれは知った。
だから…それはもう、その子から離れないと決めた。

そして…その子はその場所まで来た。だけど、そのときその子は一人だった。
でも、それは決めていた。絶対に大丈夫。自分が、いるからと。

どっちも、必死だった。必死で必死で、何とかがんばった。
だけど…影から現れた銀色の刃が、その子を無惨になぎ払った。
その瞬間だけに、使えた力を、それは使うことができなかった。
それ自身も、その子を助けようとして、その刃の前に飛び出したから。

イイ子…ダ…ヨク…ヤッタ…

…い…いや…あ…ぁぁ…

その声が…それの中に流れ込んできた。
自分に今何ができる?
その子のために、
自分のために、
今自分に、何ができる?

少しずつ…その子の声が消えていく。少しずつ…その子の光が消えていく…。
少しずつ…真っ黒な闇が…その子を…飲み込んでいく…。

ダメェーーーーーーーーーーーーーッ!!

その時、その瞬間。何があったのかは僕にも解らない。
手元にあったのは、道中で彼女が拾ったムーンアトマイザーの空になったアンプルだった。
光が、闇を照らしていく。立ち上がった瞬間に、彼女の周りを金色の光が舞い始める。
「頼んだわよ!」
彼女は、振り向かない。戦っているときはいつもそうだ。
それに今、振り返る暇なんて無いのだから。

彼女を守る光が消えて、また、銀色の刃が降りかかってくる。今度は、同じようにはさせない。
「レスタ!!」
「グランツ!!」
傷なんて、僕が治すさ。守る。そう決めたから。
僕の一部が影の中に入る。影の痛みが、僕に跳ね返ってくる。
そこで、初めて彼女は僕の姿を見た。
「構うな!撃てっ!!」
「解ってるわよ!!」
驚く暇なんて無かった。
苦痛も、怖くは無かった。どこかで、信じていたから。
僕が倒れる前に、癒しの光が舞う。

そして…一面を白い光が覆い尽くした…僕らは…勝てたのだろうか…?

あの瞬間に何があったのか、それは誰にも解らないと思う。
とても苦しいと思った瞬間に、私を闇から引っ張り上げる手があった。
最初は、マグが持っている力だと思った。
それが道中で拾ったムーンアトマイザーだと知ったのは、彼の姿を見たとき。
まだ子供だったけど、空色のローブに小さな帽子。きょとんとした顔をしてた。
「…その姿は…私のため?」
そう…聞いたけど、眠くなって…声も小さくなって来ていたし、
その小さな体に寄りかかって眠ってしまったから、返事は聞けなかった…。

その子とそれは、今日もラグオルへ降りている。
あの影はまだ健在で、最近ではその影とよく似た物がまた別な場所で見つかったらしい。
その子の横にはそれとはまた別なマグがいて、離れて動くことも多くてなってきた。
でも、それは寂しいとは思わなかった。距離より確かな繋がりを、それは知ったから。

そう、それに名前がつけられた。便宜上。特に意味はないけれど。
一応、ハンターズやるならあると便利だとその子が言ったから。

「レキ〜行くよ〜。」
「はーい。」

...END

 
あとがきになります。マグを「それ」と表現したために文中に極力それ以外の用途での「それ」を出さないように気を使いました。
初めてDFに挑むときは無敵マグは必需品ですよね。ULTのDFなんてそれがないと勝てません^^;
マグブリーダーなんて言葉があるようにマグって装備品と言うより相棒に近いですよね。

エルノアの言う、「マグの心」を描写してみようという試みがすばらしい!内容も、単にハートウォーミングなだけでなく、「影」とか「赤い輪」というキーワードを出すことによって上手く引き締められていると思います。
いい話、読ませていただきました。
マグ、大切にしよ…。


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